【新コーチに聞く・井上一樹打撃コーチ】右の大砲育てる 得点数は30~50点UPを

 矢野政権2年目となる阪神秋季キャンプが高知県安芸市で行われている。15年ぶりのリーグ優勝を目指す来季、チームに必要なものは何なのか-。「新コーチに聞く」。1回目は新たに加わった井上一樹打撃コーチ(48)。声を張り上げ、選手を鼓舞する新コーチは「チーム打率、得点のアップ、本塁打数増」「右の大砲を育て上げる」という“公約”を掲げている。

 安芸市営球場のグラウンドに声が響き渡る。「オラァ~腰が上がってきたぞ~」「ハイ!まだまだまだまだ~」「オマエ、どこの大学だ~やれるだろ!?」。井上打撃コーチが厳しい練習に顔をゆがめる選手を鼓舞する声だ。文字にすれば厳しい言葉に思えるが、常にそこには笑顔がある。時にはおやじギャグがスベることもあるが…。

 就任会見では“コミュニケーションモンスター”になると宣言。自ら積極的に声を掛けていく。「俺は厳しくて優しい。聞く耳は持っとるし、しっかり見てやる目も持っとるよ。兄貴であり、オヤジでありっていう感覚で構わんから、気にせず来いよ」。秋季練習初日に選手の前でこんな言葉を掛けた。

 矢野監督が推し進める『自主性』についても持論を展開する。

 「自主性に任せたけど、何をしていいか分かりませんっていう選手もいる。そういう人間はやっぱり『ちょっと来てみろよ』ってやる必要はあるでしょ」

 周囲のサポートは必要だと力説した上で「そこが今回、ボクが呼ばれた使命というか。そういう選手は了承を得れば、やろうぜっていうふうに引っ張り出すのもありでしょ」と、その役目を買って出るつもりだ。

 打撃コーチとして課せられた任務は明確だ。今季、打撃面で上位チームに劣った阪神。得点数はリーグ最下位、本塁打数も同5位に甘んじた。だからこそ井上コーチは「チーム打率を1分上げる、得点数を30~50点上げる。ホームラン数を増やす」という明確な“公約”を掲げる。

 今季リーグ4位だった打率が1分上がれば・261となり、巨人を上回ってリーグ2位に。総得点数は50点増えてもまだ上位との差はあるが、防御率No.1チームであることを考えれば、それだけでも大きな進歩となり、必ず勝率も上がる。本塁打数は94本。リーグトップの巨人が183本と差は歴然だった。「チームとして右の和製大砲をすごく望んでいる。誰かを成長させなくてはならない」と筆頭候補の大山、そして中谷、陽川、江越を鍛え上げていく。

 3日に終了した第1クールを「二重丸!」と満足そうに振り返った井上コーチ。「まだまだやりたいメニューがある。徐々に取り入れていきたい」と意気込む。激しさ、熱さを前面に押し出す“井上流”で、若手打撃陣を変えていく。

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