【コーチに聞く・金村暁投手コーチ】島本、守屋ら鉄壁の中継ぎ陣を生む待つ間の姿勢
鉄壁のリリーフ陣を束ねるブルペン担当の金村暁投手コーチ(43)。頼れる猛虎投手陣をけん引し、指導者として厳しい視線を光らせる。15年ぶりのリーグ優勝を狙う来季に向け、救援陣の出番を待つ間の姿勢が大切と説いた。
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誇らしげな表情から充実感が漂っていた。チーム防御率は12球団トップの3・46。金村投手コーチは今季の収穫に2人の若手を挙げた。「島本、守屋という若い選手にチャンスが巡ってきた。その2人の成長をすごく感じた一年」と新星の誕生に顔をほころばせた。
守護神・藤川に能見、ジョンソンや岩崎と強力な中継ぎ陣。そこに今季ブレークした守屋と島本が加わった。特に島本はシーズン終盤、チームに必要不可欠な存在だった。
精神的なタフさを求められる中継ぎ投手だが、金村コーチは「今までだと1、2回失敗したら2軍というところで、続けて失敗がなかったというか。守屋に関しては『まだまだ』という部分はあるけど、島本は絶対欠かせない存在になっていた」と目を細めた。
1軍経験がほぼなかった2人。勝敗の分かれ目となる場面で「いつもと違う自分」が出ても不思議ではなかった。だが、「島本に関しては『今年、もうダメだったら…』ぐらいの意気込みを感じた。打者に向かっていく姿勢は守屋も島本も、すごく強いものがあるので、引かなかった」。経験値の浅さは、攻めの気持ちで補ってきた。
能力だけでなく、出番を待つ間の姿勢が「鉄壁」を生む源だ。データのほか、前カードでの対戦を踏まえた上で試合の映像に目を凝らす。特に「同じ左の岩崎と島本が常に試合の映像を見ながら会話をするのを見て、成長を感じました」と金村コーチはほほ笑んだ。
情報を共有し、意見を交換する。「選手間で『こう攻めよう』と話してくれるのが一番の理想で、今年はそれが体現された。それが結果につながったのかなというのは思います」。ベテラン・藤川の言葉を皆が耳にし、各自がマウンドでその言葉を生かす好循環も生まれている。
秋季キャンプでは距離と力加減を調整してボールをコントロールする必要性を伝えた。ショートスローが苦手な投手もいて、キャッチボールでの“悪送球”はまだ多くある。藤川や西のような正確なキャッチボールを目指すことが、各自の技術向上につながっていく。
「開幕を勝ち取ったメンバーで最後まで、みんな50試合ぐらい投げて全うさせたいというのが理想。結果を出しながら登板数も稼いでくれているのが、うちのブルペン。それは僕がブルペンを担当した時、最初にやりたかったこと」。自身の理想は現実になりつつある。頼れる救援陣は、来季も輝きを放っていく。