新助っ人ボーアに独占インタビュー ルーティンが命!イチ流で早期&無休トレ

 阪神の新外国人、ジャスティン・ボーア内野手(31)がこのほど、米ワシントン郊外でデイリースポーツの独占インタビューに応じ、今オフは、マーリンズ時代のチームメートで尊敬するイチロー氏のように無休でトレーニングに励んでいることを明かした。4番候補として期待されるメジャー通算92本塁打の大砲。万全の準備でジャパニーズドリームをつかむ意気込みを示した。

  ◇  ◇

 -来季は阪神でプレーすることが決まった。今の心境は。

 「ずっと日本でプレーしたいと思っていたので、ワクワクしている」

 -今回の契約は自身にとってどんな意味を持つか。

 「必要とされてプレーする機会を得られる選手は多くない。阪神タイガースと契約できたことを光栄に思う」

 -阪神からは1年前にも契約の話があったと聞いている。迷いはあったか。

 「全くなかった。変わらず必要とされていることが、本当にうれしかった。歴史ある球団だし、選手を大切にしてくれていると感じたし、なによりも勝利を欲している。そこは僕にとって一番大切な部分。イージーな決断だった」

 -日本で期待していることは。

 「野球に関してはチームが勝つこと。メジャーでは、勝てないチームでプレーしてきた。プレーオフの経験もない。シーズン最後まで1試合1試合が意味を持つ、そういう1年にしたい。心配ごとは全くない。文化や言葉など、日本のことをもっと知りたい」

 -日本の野球や生活に適応できる自信はあるか。

 「あります」

 -17年オフに来日し、イチロー氏に会うために神戸にも来た。

 「神戸、東京、大阪。渋谷の交差点を歩き、京都で金閣寺も見ました。ミズノのバット工場も見学させてもらいました」

 -なぜ日本を訪問したのか。

 「人生で日本に行く機会は、そうあることではない。イチローとチームメートになったことは幸運だと思う。イチローの存在が(訪問した)一番の理由。(マーリンズ時代の)マイアミではイチローと話をするのが楽しみでしたね。野球のこと、日本のこと、彼の頭の中をのぞくのが楽しかった」

 -なぜイチロー氏を尊敬するのか。

 「イチローをリスペクトしない人なんていないでしょう?イチローと同じ時間を過ごせたことは、幸運だったと思います。彼の笑いのセンスは最高だった。選手としては『一貫性』、『継続』という部分では比類なき存在。ホームやロード、場所は関係ない。自分のルーティンを守り続ける。真のプロフェッショナル。アスリートとして尊敬しかない。イチローは『Consistency(=一貫性、不変)』を体現している」

 -今オフのトレーニングは。

 「このオフはいつもと違う方法でトレーニングしている。休みを入れず、毎日、体を動かすようにしている。体の基盤を作ること、ルーティンを完成させること。可動性の向上、下半身の強化、柔軟性。筋トレは重量や回数を気にするのではなく、正しく、きっちりやる。これまであまり気にしていなかった細部を意識しながらやっています」

 -日本のキャンプはメジャーより早くスタートする。

 「例年は1月までバットを持ちませんが、このオフは12月から振っています。4、5週間早いですね。いい状態でトレーニングできています」

 -メジャー昇格まで6年かかった。マイナー時代に苦労してきたが、自身の中で生きている経験は。

 「一番大きな経験になったのは、12年から13年にかけてですね。プロ1年目の09年、10年と順調に来て、11年は1Aのオールスターに選ばれて、ホームラン競争でも優勝できた。12年は2Aの球宴に出て、シーズン110打点。ところが、13年に前年と同じ2Aでプレーするように言われた。理解に苦しんだ。あの年は死球を受けて手首を骨折し、本当に苦しいシーズンだった。野球を辞めることも頭をよぎるほど、腹立たしかった」

 (続けて)

 「でも、僕は親から『投げ出さずにやり切りなさい』と教えられて育った。すると、その年のオフに、3Aルール5ドラフトでマーリンズから指名され、翌年にメジャー昇格。自分を見ている人はどこかにいる。だから、どんな時もハードにプレーしないといけない。そんなことを学びましたね」

 -日本での挑戦を決めた後、過去に日本でプレーした先輩から助言は受けたか。

 「ケーシー・マギー(元楽天、巨人。マーリンズで同僚)ですね。いくつかあった助言の一つに『日本人と同じ考え方で行動し、日本の習慣に従いなさい』というのがありました。『すぐにメジャーに戻るという気持ちでやっていると、成功はない。本気で日本の文化に溶け込むことを考えるように』、『日本の野球を心から楽しみなさい』とも言われた。日本語を猛勉強しているのも、彼の言葉があったから」

 -古巣マーリンズのドン・マッティングリー監督が、阪神との契約後、ボーアのパワーを絶賛していた。パワーがあることを実感したのはいつ頃か。

 「大学1年の時に、センターのバックスクリーンに打った1本はかなり良かったですね。マイナー時代に反対方向へのホームランが多くなった時に、自分のパワーを自覚しはじめた」

 -遠くに飛ばす意識はあるのか。

 「ホームランは意識しないようにしている。しっかりコンタクトすること。正しいバットの軌道で力まずに振る。打撃練習でもそうですが、余計なことを考えると、打球にトップスピンがかかって伸びない」

 -使用しているバットのサイズは。

 「普段は34・5インチ(87・6センチ)、32・5オンス(921・4グラム)のバットを使っています。今は35インチ(88・9センチ)37オンス(1048・9グラム)。リストや前腕などを強化するためのオフ限定のバットです」

 -昨年12月に結婚。今年8月に長男誕生。そして、阪神と契約。1年間で多くのことがあった。

 「(昨年の)12月1日に式を挙げて、妻の妊娠が分かったのがクリスマスイブ。いずれはと思っていましたが、予想以上に早かったですね。でも、今は生まれてきてくれたことに感謝しかない。次々に大きなことが起こったが、今は落ち着いているし、楽しみですね」

 -家族を持つことでどんな変化があったか。

 「何をするにも家族のことを考えますね。正しい選択をしていかなければいけない、と。今回、日本でタイガースのためにプレーすることを決めた理由の一つでもありますね。家族にとって安全で暮らしやすい場所だと思います」

 -自身が子供の頃に憧れた野球選手は。

 「野球をテレビで見ることはあまりなかったですね。野球はもちろんのこと、サッカー、バスケットとかをして、外で遊んでばかりいました。なのでこんな選手になりたい、という存在はなかったですね。マイナーの試合を見に行ったことはありましたが、メジャーの試合はなかった。初めて見たメジャーの試合は2014年(6月5日)に自分がデビューしたレイズ戦ですから(笑)」

 -かつて阪神に在籍し、日本一に貢献したランディ・バースは知っているか。

 「名前は聞いたことがある。僕とタイガースの契約がニュースになった時に、彼の写真が出ているのを見ました。調べてみたら、日本でとても成功した選手だと知りました」

 -ボーアには同じような活躍が期待されている。

 「もちろん、こうやって他の選手と並べて大きな期待を寄せられるのはありがたいことですが、他の選手と比較されるのはあまり好きではない。もっと僕のことを知ってほしいですね。“ボーアサン”をね。今言えるのは『彼のようなレジェンドになるんだ』という気持ちで日本に行くのではないということ。そういうものは時間をかけて築き上げられるもの。どんな形でもチームが勝つ助けをする。僕の頭の中はそれしかない」

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