【神機一転】小宮山慎二「失敗の連続だった」16年間…黒子に徹し恩返しを
多くの選手が今季限りで阪神のユニホームを脱いだ。第2の人生のスタートに向け、次の進路が決定した者もいれば、未定の者もいる。新しい人生に挑戦する虎戦士の思いを上・下2回にわたってお伝えする「神機一転」。1回目は高卒で16年間、正捕手の座を狙って努力を重ねてきた小宮山慎二捕手(34)です。
◇ ◇
現役生活を振り返り、うれしかったことを尋ねると小宮山は「プロ初安打の時くらいかな。失敗の連続だったから」と苦笑いを浮かべた。苦い記憶ばかりがよみがえる、そんな16年だった。
鳥谷や筒井と同期入団の03年度ドラフト5巡目。指名された5人中、高卒は自分だけ。「甲子園も出ていないし、全く自信がなくて、本当に3年で終わるかなと思っていて」。憧れの世界に飛び込んだ喜びを抱くどころか、危機感と常に隣り合わせになっていた。
1年目の春季キャンプでは、打撃練習で打球が内野を越えなかった。「次の日から(当時の)水谷コーチに『お前、外で打たなくていい』と。室内でずっとバッティング」と“洗礼”を浴びた。
壁を乗り越えようと、寮生の頃は毎日欠かさずマシンを相手にバットを振った。「あまりにも差があり過ぎるから、毎日室内で打つようにしていた」。ライバルとの差は自身の努力で埋めてきた。
そのかいもあってか、12年には自己最多の72試合に出場。「試合に行くのに緊張し過ぎて毎試合、吐きそうになる」という1軍ならではの苦しい経験も味わった。能見、岩田、メッセンジャーらとバッテリーを組み「完封した試合が何試合かあって、それはよく覚えている」と捕手としての醍醐味(だいごみ)を懐かしんだ。
17年に長男が誕生。「子どもに野球をやっている姿を見せたいと思った。あともう一年ぐらいできたら」と唇をかむ。「両親には感謝している。おやじが野球をやる環境を作ってくれた。小学校の時からずっと『野球で頑張りなさい』と言ってくれて」。支えてくれた周囲への感謝は尽きない。来季からはブルペン捕手に転身。黒子に徹し、チームに恩返しする。(向 亮祐)
◆小宮山 慎二(こみやま・しんじ)1985年11月26日生まれ、34歳。神奈川県出身。現役時代は右投げ右打ちの捕手。横浜隼人から2003年度ドラフト5巡目で阪神入団。プロ4年目の07年10月3日・ヤクルト戦(神宮)で初出場(代打)。通算成績は149試合、打率・164、1本塁打、8打点。
関連ニュース

編集者のオススメ記事
阪神タイガース最新ニュース
もっとみる阪神・藤川監督 富田の良さ?「そんなこと言えますか(笑)」「良かったり悪かったりするのが野球選手」
【岡義朗氏の眼】阪神・富田 浮き彫りとなった課題 先発でやっていくなら「バントと走塁の練習もしっかりと」
阪神・大山 新5番は得点圏の鬼 勝負強さ見せた全3打点!OP戦得点圏打率・714 3番輝、4番森下のカバー任せろ
阪神・工藤 出た!最速158キロ ピンチ招くもラオウ空振りK斬り OP戦5試合連続無失点
阪神・藤川監督 初DH解除で“球児野球”の一端 劣勢の展開で原口&梅野と連続代打で圧力
阪神・富田 2被弾も収穫ラス投 開幕前に「いい課題」 藤川監督信頼揺るがず開幕2戦目任せた!
阪神・ドラ1伊原 中継ぎ開幕確実 試合中にブルペン待機「流動的というか臨機応変さがいると感じた」
阪神・山田 中日・大野撃ち弾 2番起用応えた2号3ラン 平田2軍監督「本当に楽しみ」