兵庫・淡路島のスポーツ親善大使が早くも動いた。阪神・近本光司外野手（２５）が３０日、今シーズンの甲子園で行われる公式戦の主催試合約６０試合を対象に、故郷のファンを招待する「近本シート」の導入を発表した。感謝と恩返しの気持ちを形にし、スタンドから注がれる声援を力に変える。

　故郷の人たちに間近で勇姿を見てもらい、もっとプロ野球の魅力を知ってもらいたい。淡路市のスポーツ親善大使を務める近本が、強い気持ちを形にした。入団時から構想を描いていた恩返し。今シーズンから甲子園に「近本シート」を導入する。

　「入団前からそういうのをしたいと思っていた。１年間しっかり考えて。少しでも地元のタイガースとか、プロ野球を知ってほしいですし。甲子園に来たときにテレビで見るのとは違うような。そういうのを見せられるようにやっていきたい」

　ようやく実った計画に笑みがこぼれる。野球選手だからこそできる活動。これまでも、井川、藤川、城島らが特別シートを設けてきたが、２年目の選手では異例の速さだ。

　対象者は淡路市在住または、淡路市在勤、在学の人で、予定されているのは今季の甲子園で開催される公式戦約６０試合。「自分が見やすかったので。声を掛けていただいたり、タオルも掲げてもらったりして、肌で実感できた」と中堅左の左翼外野指定席に４席を確保。また、当選者には観戦チケットだけでなく、近本オリジナルタオルもプレゼントする。

　「観戦に来る人が初めてかもしれないですし、一生に一回かもしれない。思い出というのを多くの人と共有したいなと思ったので、何かのきっかけになっていけばいい」

　これからも夢を与え続ける。自身も初観戦したプロ野球を鮮明に覚えている。「阪神－巨人戦を（甲子園の）レフトポール際で見ました。アリアスがバックスクリーンにホームランを打ったのを覚えています」と思い出の一つとして残っていることを明かした。

　この日の沖縄先乗り自主トレ終了後には宜野座村立松田小学校を訪問し、全校生徒と松田幼稚園の園児を含む１５７人の子どもたちと質問コーナーなどで触れ合った。「子どもたちは元気いっぱいなんで、エネルギーをもらっている」とパワーを充てんした。

　勝負の２年目。故郷のスーパースターとして、猛虎の韋駄天（いだてん）として、近本が今年も躍動する。