阪神・球児 七色火の玉!3段階ギアアップで魅せた 71球ミリ単位調整
「阪神春季キャンプ」(3日、宜野座)
阪神の藤川球児投手(39)が3日、2度目のブルペン入りで3段階のギアアップを明かした。コースへ投げ分け今キャンプ最多の71球。「同じ球種でも6~8種類、違う目的の球がある」と、“七色の直球”に手応えがにじんだ。見守った矢野監督も全幅の信頼を寄せる絶対的守護神。火の球健在…いや、進化した火の玉がライバル球団の前に立ちはだかる。
さぁ始めようか…とばかりに、藤川が坂本に声を掛ける。「誠志郎、やろうか」。18・44メートルで繰り広げる“無言の会話”。数センチではなくミリ単位の調整作業。打者の右左で内外、高低を意識しながら直球のみ、キャンプ最多の71球を投じた。練習後に語ったのは異次元の意図だった。
「一つの球種でも6~8種類くらいかな、違う目的のボールがある。あくまでも練習なんでね」。表記はストレートでも球場、場面、打者などによって変化する。求めるのは“七色の直球”。打者を立たせ「ちょっとカット?」、「ボール?」など、球審を付けて実戦さながらの投球だ。
特に打者の右と左では、投げるラインが変わる。その軌道に角度、回転数や球速差、高低の伸び、沈みなど、火の玉と呼ばれる直球を変幻自在に操る。初日に続き、中1日での投球練習。「キャッチボールの段階で、投げられそうな気がした」と、ブルペンでの投げ込みを決めた。確かな手応えが残った。
「きょうで3段階くらい一気に状態も上がった。ストレートに関して言えば例年よりもいい状態。昨年(のシーズン中)くらいの状態にある。健康ということだけで十分です」
長年、バッテリーを組んだ矢野監督も「ええボールやったね」と驚きの表情だ。その上で、直球の変化について解説する。「ただ目いっぱい投げるだけじゃない。敏感に投げていく投手」。球筋にある意図を理解し、「イメージと結果が合っている球が多かった。これがプロかっていうね。頼もしい。信頼して任せていくだけ」と全幅の信頼を寄せた。
昨年より9日早まるシーズンの開幕を想定し、オフからハイピッチで体を仕上げてきた。直球を磨き、次段階は変化球の解禁。早ければ第3クール中にも、打者を相手にした投球を再開する。「全ては優勝するための努力。自分に期待しています」。40歳を迎えるシーズン。防御率0点台を目標に、年齢の壁を打ち破る決意だ。火の玉ストレートを自在に操り、究極の頂に登り詰める。