阪神・ガンケル、開幕ローテ大前進 コイ斬り3回ノーヒッ投 誠也も絶賛“精密機械”
「オープン戦、広島14-2阪神」(23日、コザしんきんスタジアム)
これは掘り出し物なんちゃう!?広島とのオープン戦に先発した阪神・ジョー・ガンケル投手(28)=前マーリンズ傘下3A=が、3回無安打無失点と快投。広島の主砲・鈴木誠もうなる精密機械ぶりで、開幕ローテ入りに大前進した。投手陣が16安打14失点と鯉打線に打ち込まれる中、メジャー未経験ながら完璧に抑え込んだその姿は“本物”かもしれない。
新助っ人・ガンケルが侍4番の懐を果敢に突いた。二回、先頭・鈴木誠と初のマッチアップ。直球と変化球をコーナーに投げ分け1ボール2ストライクと追い込むと、最後は143キロ速球を内角へズバッ!打球はふらりと舞い上がり、一塁ファウルゾーンで陽川のミットに収まった。
「相手も自分も初めての対戦だった。これからシーズンに入って相手も慣れてくる。それも踏まえて、自分も調整していきたい」
降板後、クールダウンを終えたガンケルは涼しげに振り返ったが、鈴木誠は「コントロールが良くていいピッチャーでした。(元広島の)バリントンみたいですね」と素直に脱帽だ。鈴木誠だけではない。主力打者がズラリと並んだ赤ヘル打線を完璧に封じ込めた。
初回は1番・田中広、続く2番・菊池涼を共に三ゴロに打ち取ると、長野からは147キロを外角いっぱいに決めて見逃し三振を奪った。続く二回も三者凡退に仕留めた中、一級品の投球術を見せたのは走者を背負ってからだ。
三回1死から坂倉に四球を与え、得点圏に進ませてしまったが、クイックモーションなどを駆使して、ピンチを脱出。“幻惑投法”に「足の上げるタイミング、テンポを変えているんだ。ボールを長く持ったりね」と少しだけ胸を張った。直球の最速は148キロを計測し、3回無安打無失点。「全部の球種をコースに制球することができた」と納得の表情を浮かべる。
実戦を重ねるたびに、ガンケル株は急上昇中だ。矢野監督は「持ち味を十分に発揮してくれた。先発に入る?今の力では入ってくるでしょう」と合格点。ガルシアが左肩のコンディション不良で出遅れる中、メジャー未経験で推定年俸5500万円の助っ人が、開幕ローテのイスを奪い取る勢いだ。
今後は球数、イニングを伸ばして先発適性を示していく。「一人一人の打者に投げて、長いイニングを投げたい。6、7、8回も投げることができるよ」ときっぱり。ハングリー精神旺盛な新助っ人から、大当たりの予感が漂っている。