阪神 さすが西勇!8安打でも5回0封 三塁走者ニラんで併殺生還阻止

 無観客のスタンドを背に力投する西勇
3枚

 「オープン戦、阪神3-0日本ハム」(6日、甲子園球場)

 最大のピンチを切り抜けると、グラブをたたいて吠(ほ)えた。まだプレシーズン。それでも2週間後に迫る開幕に向け、阪神の西勇のギアは着実に上がってきた。5回8安打の内容も無失点の結果も収穫。微調整を繰り返しながら3・20に向かう。

 「いいところもあれば、悪いところもありました」。最大のピンチは五回だった。松本、大田に連打を浴び、無死一、三塁を招く。ここで3番・近藤との対戦。0-2からの3球勝負。外角低めのシュートで1-6-3の併殺を完成させた。

 続く王柏融を見逃し三振に斬って脱出。「近藤との対戦は、思い描いていたのと結果は違った」と振り返ったが、「それも野球」と納得もした。イメージと相手の反応を擦り合わせる準備段階。矢野監督は併殺を奪いに行く中で一度、三塁走者を視線でクギ付けにしたフィールディングに、確かな手応えを感じた。

 「逆にすごいよね。8本打たれて0に抑える。三塁をまず見たところで走者が止まった。最後、あそこで1点取られるのと、取られへんのでは、えらい違い。何も心配ないね」

 三回、無死一塁では、大田に対して3球連続内角勝負。シュートで遊ゴロ併殺に斬るなど、あまりシーズン中にはない配球を試した。開幕まで残り1試合。13日のオリックス戦に向け「もう一個、試したいこともある。ぐちゃぐちゃでやっていきたい」と、本番モードで最終調整に入る。

 2月22日の中日戦から中6日で同29日・ソフトバンク戦、中5日でこの日と順調にステップを踏んできた。「悲観することなく、いいことをいいふうに捉えて。また1週間でやっていきたいです」。風格が漂う。移籍後初の大役に向け、死角はない。エース道を歩む覚悟の2020年シーズン。西勇の脳裏に、最高のシナリオが描かれている。

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