阪神・ドラ2井上 1軍初安打!伝統の一戦でタイムリー 矢野監督シーズンでの起用示唆
「オープン戦、阪神4-4巨人」(8日、甲子園球場)
昨夏日本一に輝いた聖地で豪快な打球音を響かせた。阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18)=履正社=が3-4の八回、左翼の頭上を破る同点適時二塁打。最近まで高校生だったとは思えない衝撃の“初安打”は、矢野監督もシーズン中の1軍起用を示唆するほどのインパクト。この日は無観客だったが、大観衆の前で再び雄姿を見せる日は近い。
二塁ベース上、井上が笑顔で右手を突き上げた。オープン戦出場2試合目。伝統の一戦で“初安打”となる適時二塁打をマークした。頂点に立った昨夏の甲子園とは違い、スタンドに観客はいない。そんな静寂の中、一塁ベンチにいる先輩たちから「ナイスバッティング」と、祝福の声が球場中に響き渡った。
「(打球が)ベンチの声で落ちたと分かりました。ベンチの皆さんが叫んで手を上げてくれたので、うれしかった。自分も手を上げて応えました」
ファーストスイングで仕留めた。六回の守備から出場し、迎えた八回1死一塁の第1打席。カウント1-1から鍬原が内角低めに144キロ直球を投じたが、これを強振。放った強烈な打球は、背走した左翼手・モタの差し出したグラブを通り越して落下。一走・大山を同点の本塁へ迎え入れた。
“1軍デビュー戦”で体感したことが生きた。7日・日本ハム戦に途中出場し2打数無安打に終わったが、阪神の先輩たちが打席内では配球を考えず、ネクストにいる時に考えている姿に感銘を受けたという。そのことを意識して臨んだこの日の打席。「うまく体が反応してくれた」と好結果につながった。
キャンプの初実戦では初打席初球本塁打の衝撃デビューを果たした。着実に段階を踏み、たどり着いた聖地。そこで見せた井上の素質の高さに、矢野監督もほれ込んだ。「こっちが使いたいなというものを残してくれば、もちろんあり得ることだけど」と、今シーズン中の昇格を言及するほど。背番号32の存在感を強烈に印象付ける一撃だった。
昨年11月の右足首捻挫の影響で別メニュー調整中だった2月上旬。井上は阪神の選手としてプレーする甲子園へ思いをはせていた。
「甲子園は阪神ファンが多くいますよね。あの場所で打ちたいなとも思いますし、そこを目指していかないとですよね」
今回は無観客の中での一打。次は1軍のシーズン中、超満員の甲子園で-。10日からは再び2軍戦に出場する井上。「ファンの皆さんの前で打ったらもっと大歓声が聞けると思う」。この2日間で得た大きな収穫を糧に一回りも二回りも大きくなり、またこの場所に帰ってくる。