阪神・福留 センバツ消えた球児たちへエール 95年阪神・淡路大震災で開催危機経験
今春の第92回選抜高校野球大会の中止が11日に発表されたことを受け、阪神・福留孝介外野手(42)、藤浪晋太郎投手(25)らが12日、高校球児にエールを送った。PL学園在籍時に発生した1995年の阪神・淡路大震災の影響で選抜の開催が危ぶまれた経験がある福留は運営側の決断、高校生の心中を配慮し、夏の大会での奮闘を願った。
甲子園でプレーする喜びと感動を知るからこそ、残念な気持ちが理解できる。新型コロナウイルスの影響で11日に中止が決定したセンバツ。夢舞台に立つことができず、無念の思いをにじませている高校球児たち。福留は「決断された側もすごく難しい」と運営側の心中をおもんぱかった上で、「決まっていた球児たちは本当に残念で悔しい思いをしていると思う」と心境を推し量った。
PL学園時代には3度、甲子園に出場した。その中で開催が危ぶまれたこともあった。出場が決まっていた95年のセンバツ開幕前、1月17日に阪神・淡路大震災が発生。「周りの方々がどれだけの苦労をして開催してくれたか」。甚大な被害で中止されることも検討された中、さまざまな対策が行われ、なんかと開催に至った。大会では、PL学園の応援団がアルプススタンドに人文字で「希望」と描き、多くの被災者を激励していた。そんな特別な経験をした福留は、高校野球は多くの人に支えられ、人々に勇気を与える特別なものだと実感した。
今回、憧れの舞台に立てなかった球児たち。「これを自分たちの成長できる糧として頑張ってほしい。もう一回、奮起して夏の大会に。そういう高校球児を見たいというのはすごくあるし。僕らもやっぱり楽しみにしている」と前を向いて進むことを願った。
一野球人として、センバツで聖地を踏めなかったチームの、夏の甲子園大会での救済についても言及。「簡単にコメントできるようなことではないけど」と前置きし、「本当に何らかの救済措置という高野連の人たちも言われているし。そういうのがあってもいいかと思う」と話した。前を向くしかない。福留はただただそう願うだけだった。