もっと引っ張る意識で阪神・サンズは打率残せる 藤田平氏が打撃徹底チェック
デイリースポーツ評論家の藤田平氏(72)が、阪神のジェリー・サンズ外野手(32)=前韓国・キウム=の打撃を徹底チェックした。昨季、韓国プロ野球で打点王のタイトルを獲得した新助っ人の長所は右方向への打撃と指摘。ただ、同時に日本で打率を残すためには、引っ張る意識が重要だと説いた。
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サンズの特徴はアウトサイドインのスイング。加えて、反対方向にも打てることだ。これまでのキャリアでも右方向へ流せるスタイルを強みに打ってきたわけだから、これが彼の良さといえる。他球団の外国人選手と比べれば、確かに派手さはないかもしれないが、打率を残せる可能性は十分に感じる。
オープン戦などで気になった点は、体重を前に持っていくタイミングが早いこと。バットが後ろに残っている状態、つまり振り出そうとする前の段階で体重を左足に乗せてしまっている。それでは早い。インパクトの瞬間に体重を乗せるイメージをもっと強く持った方がいいだろう。
春季キャンプから打席に立ってきた中で、日本のストライクゾーンの確認をしてきたはず。ただし、ここまでの実戦は見逃し三振に倒れてベンチに戻ってくる姿の印象が強い。
このことは、まだ日本のゾーンに慣れていないことを表している。この時点では、日本の投手や球審のストライクゾーンが、サンズのイメージと一致していないのだろう。
また、日本野球の投手は厳しいボールでインコースを攻めてくる。その上で追い込んでから外角へのカットボールといった変化球で抑えにくる傾向が強い。反対方向へ打てることが強みのサンズだが、日本の配球を考えれば、今までよりも“引っ張りの打撃”を意識することも一つの考えだ。
時には“自分の打撃を変えてみる”という工夫も必要となる。当然、昨年までプレーしていた韓国とは配球や投手の攻め方も違ってくる。郷に入れば郷に従えだ。
同時に、引っ張る打撃を特徴とする打者が流して打つことより、反対方向に打つことを得意とする打者が引っ張る打撃を意識する方が対応しやすい。外国人選手が異国で成績を残せるかは、その環境にうまく順応していけるかがカギといえる。
変化球は、しっかり引っ張って長打にできている。2打席連続で本塁打を放った2月29日のソフトバンク戦(ペイ)はどちらも左方向だった。球種はカットボールとカーブ。今後は速い直球にも対応できるか。今年は開幕再延期となったことでシーズンまで時間がある。ゾーンの確認はもちろん、配球の研究や打撃スタイルをどうしていくかを考えてみてもいいだろう。