【名勝負列伝 3】中村豊の怒りのV弾!05年岡田虎をリーグ制覇へ加速させた

 今年、球団創設85周年を迎えた阪神タイガースの球団史を彩る名勝負を紙面とともに振り返る「球団創設85周年 名勝負列伝」。第3回は中村豊2軍外野守備走塁コーチが登場。2005年9月7日・中日戦(ナゴヤドーム)での「中村豊 決勝弾」を取り上げる。

  ◇  ◇

 伏兵の大きな一発でフラストレーションがたまっていた虎党の留飲を下げた。2差で迫っていた2位・中日との負けられない一戦。打球が左翼ポール際に吸い込まれていったことを確認した中村豊は、二塁を回ると右腕を思いきり突き上げた。

 3-3の同点で迎えた延長十一回。先頭打者で打席に入った。試合時間は5時間が経過しようとしていた。フルカウントから平井が投じた高めの直球を迷わず振り抜く。均衡を破る一撃に、虎党は沸き返った-。

 1点リードの九回、代走で出場した中村豊は怒っていた。満塁から関本の右前打で三走・今岡が生還し、二走・中村豊も本塁を突く。左手がベースにタッチし、セーフ…にも思われたが判定はアウト。思わず球審に詰め寄ったが、覆らなかった。

 阪神にとって不利な判定は続く。その裏の中日の攻撃。無死二、三塁から谷繁が二塁へゴロを放ち、三走・アレックスが本塁を突く。タイミングはアウトにも見えたが判定はセーフ。岡田監督も猛抗議し、選手たちをベンチに引き揚げさせた。一触即発状態となり、球審に暴力行為をしたとして平田ヘッドコーチが退場に。険悪な空気が流れ、結局18分間の中断を経て試合再開となった。

 そんな重苦しい展開で出た中村豊の一発。翌日のデイリースポーツには「(走塁で)アウトになったところは、審判にもミスがあるけど僕は相当自信があった。あの打席は気持ちが入りました。技術はないから気持ちで打ちました」というコメントが掲載された。

 あれから15年が経った。中村コーチは「みんな言うよね。あの場面」と笑い、「あの打席は立ちたくなかったんだよ。代打を出して欲しかった」と明かす。今でも虎党の胸に刻まれる、阪神で放った唯一の本塁打。この勝利で勢いに乗ったチームは、2年ぶりのリーグ優勝へ一気に駆け上がっていった。

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