小山正明氏 西勇は投手陣で唯一計算できる 防御率改善で白星量産可能
デイリースポーツ評論家が独自の目線で今季の注目選手を紹介する「It’s 勝笑 Time! オレが推す」(随時掲載)。今回は小山正明氏(85)が「投手陣で唯一、計算できる」として西勇輝投手(29)を推す。自らの経験を踏まえながら、防御率のさらなる改善で勝ち星量産が可能と助言。Vへの大きな貢献を期待した。
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今のタイガースのピッチングスタッフにおいて、西は唯一と言っていいノルマを与えられる投手やね。ノルマを与えられるっちゅうのは計算ができるということ。彼が10勝以下じゃ困るわな。そういう意味でも先発陣の軸である存在。まあ、これは僕が言わんでもみんな分かってるし、期待しているところやろうね。
僕も制球力で勝負するピッチャーやったけど、球を外や近めに出し入れしてコントロールで勝負できる投手は、僕が見るところではジャイアンツの菅野と西ぐらいしかおらへんのとちゃうかな、セ・リーグでは。
逆に言うとやな、今の投手は総じてコントロールが悪い。これはキャンプなどで投げ込みが足りんからなんや…。まあ、そんな苦言は置いといて、西のことはそれぐらい評価しとるんよ。
それでも去年は10勝8敗か。打線の援護が勝敗に影響するタイプやし、去年も西が投げると点が取れないという試合があったやろ。僕がやっていた頃もタイガースは点が取れへんかった。当時、ジャイアンツの打線を何度もうらやましく思ったもんやで。あれだけ点を取ってくれたら、もっと勝ち星が増えるのにという思いをしょっちゅうしたわけや。
思い出すんが昭和36年(1961年)。僕は防御率2・40やったのに11勝22敗やで。どれだけ援護がなかったかってことや。それで次の年、必死に頑張って防御率を1・66に改善したら27勝11敗になった。いまだにセ・リーグ記録になってる5試合連続完封を含む13完封や。
その年、チームも優勝したんやけど、打線が良くなったわけではないで(※1)。なにが言いたいかというと、西も去年の防御率2・92を、もっと良くしたら自然と勝ち星が増えるということや。もちろん打線の援護も欲しいやろうけどな。
あと一人、高橋遥人の名前も挙げたい。彼のデビュー戦が強烈に印象に残っとるんよ。低めのストレートが両サイドにきっちり決まって、広島打線をきりきり舞いにしよった(18年4月11日、7回2安打無失点)。
あれだけの能力があるのだから、あとはシーズン通してそれを出せるかどうかやね。もし西と高橋が2本柱として勝ち星を増やせれば、優勝も夢やないと思っとるんよ。
※1…シーズン4位に終わった1961年の阪神はリーグ5位の405得点。優勝した翌年も386得点で同5位だった。