阪神 短期決戦式戦略で開幕ダッシュだ 岡義朗氏が期待「投手力あるチーム優位」

 デイリースポーツ評論家陣が独自の目線で阪神の今シーズンを占う企画「虎Vへの夢構想」。第2回は岡義朗氏(66)が登場。試合数減で行われるペナントレースのキーポイントを挙げた。

  ◇  ◇

 開幕が延期され、交流戦が中止になったことでシーズンの試合数が減る。これは阪神にとって優勝のチャンスが広がる可能性があるのではと見ている。

 戦力の入れ替えはあったものの、阪神の投手力の高さに変わりはない。ただ、ここ何年間かは攻撃力に課題があった。投手陣が踏ん張りながらも、打線の援護がないという試合展開が多かった。

 夏場以降になると投手陣に疲れが見え始め、優勝争いから脱落していく。そういうパターンを繰り返してきた。しかし、試合数が少なくなれば投手陣がバテる前にペナントの行方が決まってくるかもしれない。また、これだけ実戦から遠ざかっていると、シーズン序盤は投手より打者の方が不利になる。投手は制球さえ気をつければ、打者が例年より打ち損じる可能性が高い。そう考えると、投手力のあるチームがより優位というペナントレースになりそうだ。

 まずは開幕からの滑り出しが例年以上に重要になる。試合数が少なければ少ないほど、開幕ダッシュがカギを握る。例年スロースタートで夏場以降に地力を発揮する巨人の戦い方は、今年の場合は追い上げが間に合わないかもしれない。逆に先行逃げ切り型の阪神は、そのまま逃げ切れる可能性が高まる。シーズン序盤から戦力を出し惜しみせず“短期決戦式戦略”で臨むことも必要だろう。

 昨年の対戦成績を見ると、阪神は巨人と中日、そして交流戦で負け越している。交流戦が中止となった今年は巨人、中日をいかに攻略するかがポイント。仮に巨人が出遅れた場合、中日が最大のライバルとなりうる。

 中日は昨季、阪神と最下位のヤクルトにだけ勝ち越した。ここ何年も阪神にとっては相性の良くない相手だ。お互いに点が取れないまま試合が進み、いつの間にか勝負がついている。そんなイメージの試合展開が多い。

 ではどう攻略するか。とにかく先手を取ってリリーフ勝負に持ち込むことだ。得点チャンスとなれば、序盤でも代打をつぎ込むぐらいの思い切った攻撃でいい。七回までに阪神が3、4点リードした場合、巨人、広島以外の3球団は阪神救援陣の前にあきらめる傾向が見えるときがある。その展開にいかに持ち込むか。それが試合序盤での早い仕掛けだ。

 阪神は昨季終盤、奇跡の6連勝でAクラスに滑り込んだ。全戦力でCS進出をつかみ取る戦い方だった。今年はシーズン序盤から、ときにはそれぐらいの覚悟で目の前の白星をつかみにいってもらいたい。阪神が序盤で走れば、優勝へ大きく近づくはずだ。

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