阪神外国人選手列伝 81年、骨折に泣いたオルト、当時珍しい“第3の外国人”ラム
阪神は2020年、球団史上最多となる外国人選手8人体制でV奪回に挑む。球団創設85周年のメモリアルイヤー。かつてタテジマのユニホームに袖を通した助っ人を年度別で振り返る。1981年はオルト、デード、ラム、ゴンザレスが在籍した。
オルトは左投手を得意としており、2月のテンピキャンプ合流時には「(当時のMLBナンバーワン左腕)バイダ・ブルーから3本のホームランを打っているんだ」とアピール。7月23日・広島戦では13号3ランを放ち、掛布、岡田とアーチ競演。柔らかい打撃は率も長打力も兼ねそろえていたが、8月7日・中日戦で曽田のシュートを左手甲に受け「左第5中手骨(小指)骨折」でリタイア。102試合で打率・307、18本塁打、59打点。規定打席には届かず、この年限りで退団した。
デードは現役大リーガーとして期待は大きかった。メジャー通算打率・270。来日時には「自分の持っている実力を今すぐにでもお見せしたい」と自信たっぷりに話した。アベレージヒッターの触れ込みだったが、37試合で打率・219、1本塁打、5打点に終わり7月に解雇された。
代わってゴンザレスを獲得したが、こちらも故障がち。わずか9試合の出場で打率・174、1本塁打、3打点と期待を裏切った。
ラムは80年に日本で開催されたアマチュア世界選手権にイタリア代表として出場しベストナインに選ばれた。球団は将来性を買い、即戦力としてではなく「第3の外国人」として獲得。これまでにない経緯で入団した外国人選手として注目を集めた。安芸キャンプ入りした夜の歓迎会では刺し身を三人前も平らげて急性胃炎を起こしたという。「食べ過ぎと緊張もあったのだろう。憎めない男」と本紙は書いている。デード、ゴンザレスの故障の間に1軍に昇格し、57試合で打率・269、4本塁打、15打点の成績を残している。
この年は67勝58敗、5分けで3位。10月に中西太監督が辞任した。