阪神・岩田稔基金から400万円の研究助成決定 1型糖尿病根絶へ前進

 阪神・岩田稔投手(36)が18日、甲子園での自主練習後にオンライン取材に対応。全国の1型糖尿病患者・家族を支援する日本IDDMネットワークを通じ、2017年に創設した「岩田稔基金」で積み立てた400万円の研究助成が決定したことを明かした。この病気の根絶を願い、この病気と闘う唯一のプロ野球選手として、さらなる活躍へ決意を新たにした。

 1型糖尿病の根絶へ、大きな一歩だ。17年に創設した「岩田稔基金」から400万円の研究助成が決定した。日本IDDMネットワークによると、助成総額はその他基金などを含めて過去最高の1000万円に到達。一つの区切りを迎え、岩田は根治への願いを込めた。

 「ようやく進み出したのかなと思っています。高校生の頃より完治に近づいていると思いますけど、まだまだ時間がかかりそうな気がします。1型の患者としては1日も早く根治してほしいという思いしかないので」

 これまでさまざまな活動を通して、患者に寄り添ってきた。岩田稔基金として積み立ててきた「1勝10万円」のほか、シーズン中は交流会を開催。全国各地の「患者会」に足を運ぶという夢もある。

 「患者として何かできることがないか考えている。幼くして発症した子どもたちもたくさんいる。親の人たちも不安なことが多いと思うので少しでも解消できたらいいなという思いで続けています」

 コロナ禍収束への思いも人一倍強い。基礎疾患を持つ岩田は日頃から手洗い、うがい、消毒を徹底。全国的に緊急事態宣言解除に向かっているが「正直まだ収まっていないと思う」と警鐘を鳴らす。

 「基礎疾患を持っている人からしたら恐怖しかない。世界中の人がビビりながら生活しているので、ちゃんと考えて行動できるようにならないとダメだと思っています」

 自戒を込めつつ6月中旬以降と想定される開幕へ調整を進めている。自転車通勤は操作が難しい競技用のBMXに乗り換えて継続中だ。大阪市の中津にある個人トレーナーの治療院に愛車を止めて、甲子園まで往復16キロの距離を走る。

 「しっかり上半身を使って有酸素運動を兼ねてやっています。肩甲骨回りを動かす方が代謝も良くなるので」

 36歳を迎えても左腕は好奇心にあふれている。「圧倒的な成績を残して優勝もしたいですし、そうするのがベストだと思うんですけど、自分にできることを一歩ずつ確実にしていくことが大事かなと思っています」。これで終わりじゃない。1型糖尿病根絶の日が訪れるまで、患者と共に歩んでいく。

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