阪神粋やね!!高校球児に甲子園の土 3年生部員5万人に贈呈
阪神と甲子園球場は8日、日本高野連に加盟する硬式、軟式野球部の3年生部員に『甲子園の土入りキーホルダー』を贈呈することを発表した。対象は約5万人となる見込みで、8月下旬をメドに順次、対象の学校に配送される予定だ。“幻”となった102回大会の『102』のロゴがデザインされ、矢野監督、選手らが実際にグラウンドから集めた土が入れられる。無念さを味わった球児にとって、かけがえのない宝物となりそうだ。
こみ上げる感情に、矢野監督が瞳を潤ませ、言葉を詰まらせる。
「挑戦すらできないっていうのは…ほんとに悔しい思いをしていると…。みんなで応援していますし、この状況を乗り越えて、この年の選手たちってすごいよなと5年後、10年後に言ってもらえるような時代になればいいなと思います」
高校球児への思いを語った後、「また泣きそうなった。危なかったわ」と照れ隠しのような笑みを浮かべた。
甲子園の土入りキーホルダーを届ける企画は、矢野監督、コーチ、選手、スタッフがオンラインで行っていたコロナ禍でのファンサービスを考える会議の中で生まれた。
5月中旬から話し合いを進めていく中で、夏の甲子園中止が決定。球児の聖地を本拠地とする球団として、できることはないかという声が選手から上がり、矢野監督を中心に発案された形だ。「高校球児、そして一緒に頑張っておられる監督さん、父兄のみなさんを応援したい、背中を押せるものがないかなというところで決めました。みんな気持ちよく『よしっ、やりましょう!』と一致団結して賛同してくれました」と指揮官は明かす。
ただ単に贈るだけではない。キーホルダーに入れる土の一部は監督、コーチ、選手、そして甲子園球場、タイガース、阪神園芸の職員らを含めたみんなで集める。「僕たちの思いっていうのも入って球児に届いてほしいと。ほんとに裏方さんも園芸さんも球団も選手、コーチ全員が応援しているよっていうね」。費用の一部もチーム一同で出し合い、制作されるという。
「ほんと将来楽しみにしてるねん」。矢野監督は明るい“未来”も描く。「かばんやリュックに付けてくれている子と出会うかもしれない。このキーホルダー、土を持った子と会えたらすごくうれしいなと。一歩でも踏み出すみんなの後押しになる未来を想像して届けさせてもらおうかなと思っています」
プロ野球の世界、あるいは一般社会に進んだ子かもしれない。矢野阪神からのプレゼントを受け取り、笑顔を取り戻してそれぞれの舞台で活躍する元球児と出会う日を夢見る。少しでも前を向くきっかけになってほしい-。その思いはきっと全国にいる高校3年生の球児へ届くはずだ。