【岡田彰布氏の眼】チーム状態最悪「勝って流れ変えんと」 阪神開幕3連敗分析
「巨人7-1阪神」(21日、東京ドーム)
ホンマに、何でこうなってしまったんよ-。阪神は開幕の巨人3連戦で球団史上初の屈辱となる3連敗を喫した。阪神元監督でデイリースポーツ評論家の岡田彰布氏(62)は現状のチーム状態を「最悪レベル」と評し、「こうなるまでに止めなあかんかった」と指摘。今3連戦の分岐点を冷静に分析した上で、今季初勝利こそが浮上への打開策になると語った。
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球団史上初となる屈辱の開幕G戦3連敗-。3試合で開幕オーダーの構想は崩れ去り、ストロングポイントの投手陣も打たれた。岡田氏は東京ドームの記者席で「流れを変えるポイントはいくつかあった」と分析する。
この日、最大の焦点に挙げたのは四回、ガルシアの交代機だ。巨人打線が助っ人左腕の浮き始めたボールに狙いを定め、試合をひっくり返された。「ガルシアの状態も良くなかったし、もうパーラに打たれたところで代えんと。やはり2点差が限度。連敗して迎えたわけやから、次の回の7番から始まる打順まで待つ余裕はないよ」と試合展開を読んだ。
逆に巨人は勝負どころと踏んで、3-1の2死二、三塁から2三振の湯浅に代えて北村を代打に送る。結果、北村と坂本に連続適時打を浴びて一挙5失点。なすすべなく宿敵にスイープされ「初戦からすべてが後手後手。本当ならこうなるまでに止めなあかんかったんよ」-。そう総括した岡田氏が指摘したポイントは確かにあった。
◆第1戦 阪神2-3巨人
最大の転機となったエース・西勇の交代機。宿敵のエースが七回までマウンドに上がる中、「菅野に投げ勝ちたいという気持ちが伝わってきている。続投させなあかん」と七回攻撃中に語っていた。
だがベンチは故障明けの岩崎をマウンドに送る。「まだ勝ちパターンも明確に固まっていない中、これで打たれたら西も岩崎もつぶしてしまうことになるよ」-。結果は岩崎が吉川尚に2ランを浴び、次打者・坂本にも今季初安打を許した。
「ノーヒットの2人に打たれたわけやから。選手は無安打と開幕の1本目が出るのでは全然違う。しかも左の岩貞が明日の先発やろ?これは、響くよ」とこの時点で予言していた岡田氏。次戦を考慮した上で逆転2ランの直後に右へスイッチし、コロナ禍で不安が残る坂本と左腕の対戦を避け、封じ込める。そんな戦略的視点があれば…展開は変わったかもしれない。
◆第2戦 阪神1-11巨人
初回に岩貞が坂本の三塁打から先制点を奪われ、同点に追いついた直後の四回先頭の場面では勝ち越しへつながる中越え二塁打。そして七回にはダメ押しの適時打と、3安打すべてが得点に絡んだ。
ただこの試合で岡田氏が分岐点としたのは新人・小川への継投。2点ビハインドの七回から投入したことに「まだ2点差やったら分からん。勝ちにいくんやという姿勢をチームに示すには、新人の小川じゃないよ」。打ち込まれ、逆転の望みはその時点で消えた。
分岐点の一手でことごとく流れを手放し「チームの状態としては最悪のレベル。この3連敗から立て直すのは簡単やないよ。打順だけじゃなく、スタメン捕手も3試合すべて変えたやんか。これではチームは落ち着かん。自分たちの役割は何か。選手たちも見えてないんちゃうか」と指摘した。
「だから一つ勝って流れを変えんと。勝つことしか打開策はない。次のヤクルト戦でまず、そこを目指してほしい」と虎の奮闘を願った岡田氏。現状が底だからこそ、はい上がるしかない。