【藤田平氏の眼】阪神 原口の気配が相手助けた?構える動作「大きく早い」
「ヤクルト6-1阪神」(24日、神宮球場)
六回に阪神・谷川がヤクルト・坂口に右翼ポール際へ大ファウルを打たれた場面で、気がかりな点が見えた。内角球に対し、坂口は決め打ちしたような思い切ったスイングだった。ベテランとしての読みもあるだろうが、原口が内角へ寄って構えた気配を感じていたようにも思えた。
球場記者席への入場制限のため、テレビ画面を通じて評論させていただくが、テレビだからこそ見える打者の表情というものがある。これは巨人戦を見ていたときも感じたことだが、捕手の構えたコースが打者に分かったのでは、と思える瞬間が何度かあった。
そういう視点で見れば、梅野に比べて原口、坂本はコースへ構える動作が大きく、少し早いように思う。無観客ということを考えると、コースへ寄る際にわずかに出る音も打者に聞こえている可能性がある。経験上、打者が捕手の気配を感じることはある。それだけに心配な点に思えた。
ヤクルトが積極的に盗塁を仕掛けたことも、構えの早さと無関係ではないかもしれない。コースが分かれば走りやすい。捕手が盗塁阻止率の高い梅野ではない、ということもあるだろうが対策を考えた方がいいだろう。
ボーアに初安打が出たが、腰の開きが早く、タイミングはまだ合っていない。「人」の字の形になるのが理想だが、今のボーアは重心が前方に流れてしまい「入」の形になっている。これではいろいろなコースに対応しづらい。この日の安打は、たまたま対応できるコースに、打ちやすい変化球が来ただけのように見えた。