甲子園に虎党が帰ってきた 4945人熱烈応援が阪神4連勝呼んだ
「阪神3-2DeNA」(10日、甲子園球場)
プロ野球とJリーグは10日、新型コロナウイルス禍で見合わせていた公式戦の観戦を解禁し、上限5000人の観客を入れて公式戦を実施した。甲子園球場では阪神-DeNA戦が4945人の有観客で行われた。1軍の試合で甲子園にファンを入れるのは、昨年CS進出を決めた9月30日・中日戦以来284日ぶり。聖地に帰ってきた虎党たちが、チームの浮上を後押しする。
コロナ禍と共存しながら、プロ野球は新たな一歩を踏み出した。セ・パ両リーグ、5球場で有観客試合を開催。上限5000人の設定の中、甲子園でもバックネット裏、内野席(アルプス席を除く)、外野席からファンが熱烈な応援を続けた。
チケットは前日までに完売。入場の際はサーモグラフィーを通し、係員2人がフェースシールドを付けて体温を確認。37・5度未満の人が入場を許可された。1列約10席のところに、5席間隔を空けて2人が座り、前後は人が来ないように配置された。
試合前から球場外は熱気であふれていた。午後4時の開門前に到着したファンが次々に応援時の“戦闘着”であるユニホームに着替えだす。入場を今か今かと待ちきれない様子で、まるで野球少年のようだった。
滋賀県から両親と来場した草野朱音ちゃん(11)は糸井の大ファン。「糸井さんを楽しみに来ました。ファンレターを書いたり、イラストを送ってました」と明かし、背番号7の奮起を願っていた。
本紙を長年愛読しているという藤原英明さん(57)は横浜市から駆けつけた。「スポーツはみんなを楽しくする。プロ野球が先頭になって、そこで阪神が勝って引っ張ってほしい。大雨で被害にあった九州にも元気を与えてほしい」と全国に活力を与える役目が阪神にあることを強調していた。
「2020甲子園 開幕待ってたヨ」とのボードを掲げていた京都市の清水崇弘さん(47)は「待ちに待ったというのが感想ですね。(期待は)そら、優勝です」と語気を強め、最下位に沈むチーム浮上だけを信じていた。
初回、青柳が梶谷に先頭打者本塁打を浴びた瞬間は虎党の悲鳴が漏れ聞こえた。だが、近本も負けじと先頭打者弾で反攻。メガホンを叩く音も鳴りやむ気配はなかった。土砂降りの五回2死一塁、青柳がソトを空振り三振に仕留めた瞬間は、この日一番の歓声が響き渡った。
歴史的な一戦を何よりも勝利で飾れたことが大きい。雨中に詰めかけたファンも、忘れられない試合になったに違いない。