阪神・梅野 お待たせ今季初V打&猛打ショー 八回猛攻5点で竜退治

 8回、勝ち越し打を放った梅野はガッツポーズを決める(撮影・田中太一)
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 「中日3-9阪神」(26日、ナゴヤドーム) 

 阪神が逆転勝ちで貯金1に戻し、再び3位に浮上した。先制されながらも打線が終盤に奮起。勝負を決めたのは梅野隆太郎捕手(29)だ。1点を追う八回、福留孝介外野手(43)の適時打で同点とし、2死一、三塁から梅野が左前へ決勝打。この回、一挙5点を奪って圧倒した。

 快音を残した白球が左前で力強く跳ねた。勝ちたい、勝たせたい。一塁ベース上に進んだ梅野が、力強く握った拳をベンチに向ける。結果的に大勝で終わった一戦は、選手会長のバットが勝敗を分けた。今季初の決勝打を含む猛打賞。恐怖の7番がチームを救った。

 「孝介さんがつないでくれた。集中して打席に立つことができたので、いい結果につながったと思います」

 ハイライトは1点差で迎えた八回。2死一、二塁から、福留の左前適時打で同点に追い付いた。続く一、三塁の好機。「どんな結果でも恐れず、初球から打とうと決めていた」と交代直後、ゴンザレスの1球目を狙い澄ました。バットの先ではあったが、振り抜いた打球は左前で跳ねた。

 捕手として大切にする思いがある。17年6月23日の広島戦。先発したメッセンジャーが4回5失点で降板すると、2番手で登板した柳瀬が1回8失点で大敗。梅野も途中交代した。試合後、当時は作戦兼バッテリーコーチだった矢野監督に、捕手3人が食事に誘われた。伝えられたのはチームを背負う覚悟だ。

 「野球は捕手のサインから始まる。選択1つで投手の人生を左右する。守る野手がいて、家族もいるやろ。だからこそ根拠が必要や」。人の人生を背負う選択。そんな日々の積み重ねが打席の集中力も生む。「チームのためを思って凡打でも全力疾走。一生懸命やっているところが、いい意味で返ってきている」。打率・337はチームトップ。懸命なプレーが勝機を呼んだ。

 チームを大切にする男はファンも大切にする。25日の試合開始直前。バットを持った梅野がベンチを出て、三塁側スタンドを見上げるように歩いた。まだ空席が目立つスタンド。ユニホームを着た少女を見つけると、手招きして笑顔でプレゼント。家族でハイタッチする姿を見つめた。

 「開幕から使っていたバットに、少しヒビが入ったからね。プロ野球選手として何か、人が喜んでくれることができたらと思って」

 ファンの夢も背負う選択。だからこそ全力プレーを忘れない。前回3連敗した敵地で雪辱。再び3位に浮上した。ヒーローインタビューでは、決めゼリフの『勝つばい』は控え「自粛、自粛」と笑った。また甲子園で叫べる日を信じて戦う。勝負どころで輝く選手会長。ファンに、チームに、勝利をプレゼントする。

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