【岡義朗氏の眼】阪神・近本の三盗に成長を感じる
「ヤクルト3-1阪神」(29日、神宮球場)
阪神・近本の三盗に成長を感じた。初回1死二塁からサンズの初球にスタート。完璧にモーションを盗み、捕手に送球すらさせなかった。
事前のデータを基に、糸井の打席でタイミングを探っていたと思う。原のモーションは一度、二塁走者に視線を送ると、以降は目を配ることなく打者に投球していた。ワンパターンになっていることが確認できたからこそ、近本はサンズの初球に原の視線がホームに向いた瞬間、スタートを切ることができた。
これは準備のたまものであり、糸井が最低限、走者を三塁に進められなかったミスをカバーするもの。流れがいい時は、こうやって誰かのミスを誰かがカバーすることでチームは好循環になる。
得点にこそつながらなかったが六回の植田、八回の梅野の二盗もきっちり準備した結果だ。成長を感じる一方で、七回にピンチを招いた植田の悪送球、八回に伊藤和が飛球を捕りにいかなかった場面が気になった。“軽く見えるプレー”は、投手-野手の信頼関係を損ない、流れを失うだけに注意してほしい。