阪神・梅野、3号先制3ラン 甲子園自身初の右方向へ一発
「阪神3-3DeNA」(31日、甲子園球場)
攻守で奮闘した末に残ったのは、徒労感だった。試合後、阪神・梅野は疲れ切った表情で試合を振り返った。「勝たないといけない展開。悔しいという気持ちが強いですね」。結果的には引き分けた。ただ、正捕手の活躍なくして、この試合展開もなかった。
四回2死一、二塁。1ボールから上茶谷の外角高めのカットボールをフルスイング。打球は拍手と歓声の後押しも受けて、右中間席へ飛び込んだ。3号3ラン。21イニングぶりとなる得点がスコアボードに刻まれた。
「キャッチャーとして点が入らないのは、どうしても苦しくなるし。ヤギ(青柳)もすごく頑張っていますし、なんとか援護したいと思っていたので先制できて良かった」
7月1日・中日戦(ナゴヤドーム)以来、23試合ぶり、91打席ぶりの本塁打。甲子園では通算7本目となるアーチだが、右方向への一発は自身初めてとなった。
誇らしげにダイヤモンドを周回し、ベンチに戻る。青柳には笑顔で左腕の“青いリストバンド”を指でさした。プロ野球が開幕を迎えることに感謝の思いを込め、開幕日に12球団の選手、スタッフらが腕に巻いた「ありがとう」バンドだ。
「感謝の思いもあっていろんな意味で着けてるので。少しでもテレビで見ている人にも伝わればなと、自分なりにしたんですけど」
守備でも七回は馬場、九回はスアレスのワンバウンドを何回も止めた。それでも投手にジェスチャーで「腕を振れ!」と指示。「どんな状況でもピッチャーを助けるというか。当たり前に見えるかもしれないけど、自分では必死にしているので」。チームに黒星をつけなかったのは、正捕手の献身を抜きにして語れない。