【藤田平氏の眼】阪神敗戦の中で光ったベンチ
「広島2-1阪神」(8日、マツダスタジアム)
阪神は、広島の大瀬良からのリレーに1得点での敗戦となった。その1得点は、不振を極めた大山の本塁打ということで、明るい兆しと見たいところだが、その後の打席では結果が出なかった。
大山に関して言えば、ボール球に手を出すケースが多すぎる。ファーストストライクから振っていく姿勢が顕著だが、そこに「ファーストボール」も交じってくると、当然、結果は出ず、フォームを崩す原因にもなりかねない。
ただボール打ちは、阪神の他の選手にも見受けられる。7月28日のヤクルト戦で20得点して以降、大振りになっているようにも感じられる。ストライクを、強く、コンパクトに振る意識を持ちたい。
こうした、打線の調子が上がらない中、阪神ベンチの工夫が見られたシーンがあった。1-1で迎えた六回裏、広島の攻撃。2死二塁でバッターボックスに菊池涼が向かった。
ほぼ同時に、そこまで好投の大瀬良が、七回の登板に備えて一塁ベンチ前でキャッチボールを始めていた。
ここで阪神・矢野監督が菊池涼の申告敬遠を告げた。もちろん次打者・田中広の打順となり、大瀬良はキャッチボールもそこそこに、ネクストバッターズサークルに入らなければならなかった。
阪神はこの回を無失点で切り抜け、直後の七回、サンズ、ボーアの連打で無死一、三塁という絶好のチャンスを作った。
結果的には、得点に結びつけられなかったが、少なくとも七回のマウンドに行く前の、大瀬良の準備を阻み、外国人選手が無死から連打したところまでは、阪神ベンチの“好プレー”と言える。
さらにセーフティースクイズその他、何か1点をもぎ取ることができれば、ベンチで勝った試合にできたのだが、そこは今後に期待したい。