今季限り引退発表の阪神・藤川、目前の日米250セーブは誰にも“険しい山”
阪神の藤川球児投手が31日、今季限りでの現役引退を表明した。日米通算250セーブまではあと「5」で、藤川はあくまで今季中の1軍復帰を目指して調整に励むとしている。
日米通算250セーブが話題となる理由に、名球会の入会資格の一つであることが挙げられる。2003年に、日米通算記録(NPBとMLBの合算)を認めることと、セーブ数による入会資格を認めることが決まった。ここ5年間の最多セーブのタイトルを獲得した投手のセーブ数を見ると、30~54(54は17年のサファテ=ソフトバンク=で1シーズンの最多セーブ記録)であることから、200勝よりもハードルが低いように考えている人もいるのではないだろうか。確かに、計算上では仮に25セーブを毎年続ければ10シーズンで到達する。
だが、実際は甘いものではない。日米通算250セーブを達成した人は岩瀬仁紀(NPB407セーブ)、佐々木主浩(NPB252セーブ、MLB129セーブ)、高津臣吾(NPB286セーブ、MLB27セーブ)の3人しかいない。2010年に通算250セーブを達成した岩瀬の場合、そもそも1999年から12シーズン続けて登板50試合以上を続けて、さらに2013年まで継続させた。それだけの登板数を投げ抜いてきたからこその記録と言える。
佐々木も90年から99年まで(翌2000年からMLBでプレー、04年復帰)の10シーズンで405登板。高津も91年から03年までの13シーズン(04年~05年はMLBでプレー、06年はヤクルトに復帰)で525登板とタフな任務を遂行している。
守護神、クローザーと呼ばれる抑えの投手は試合の展開に応じて肩をつくらなければならず、例えば八回に逆転されれば、登板そのものがなくなることもある。また、セーブがつかないほど点差が開けば、登板しても記録は伸びない。
前出のサファテはNPBのみで通算234セーブ。ソフトバンクに移籍してからは絶対的な守護神として君臨してきたが、股関節の負傷で苦しんでいる。NPB所属の現役投手では、2年連続セ・リーグ最多セーブの山崎康晃(27)=DeNA=が169セーブ、増井浩俊(36)=オリックス=が163セーブを挙げている。ただ、27歳の山崎を見ても、現在は救援失敗から中継ぎに配置転換されており、簡単に伸ばせる数字でないことが分かる。