【岡田彰布氏の眼】阪神 チームとして負けたゲーム
「阪神2-3巨人」(7日、甲子園球場)
これはチームとして負けたゲームだと言える。阪神としては高橋を今季初めて中5日で投入した試合。先制点はおろか、絶対に1点もやらないと踏んだ中での守備陣形に疑問が残った。
それは三回1死二、三塁で坂本を迎えた場面。序盤のメルセデスを見れば、そう簡単に得点を奪えないことは明白だった。だが阪神の内野陣は初球から前進守備を敷かず、カウント1-2以降に二遊間が前に出てきた。
高橋の持ち味は低めの伸びるストレートと変化球。その良さを消し、簡単にゴロを打たせられないという重圧を投手にかけるだけでなく、チームとして1点もやれないという意思統一ができない。これでは高橋を先発させた意味は何だったのかということになる。
直後、近本の悪送球は上空の風を計算し、打順が上位ということを考えれば、浅い外野フライで三塁走者がスタートを切る確率は低い。だが内野陣は誰もカットマンに動かず、結果的にバックホームが浮いた。
逆に四回、大城の犠飛は浅い飛球でもギャンブルスタートが考えられた状況。2死二、三塁では吉川尚が歩かされ、満塁でメルセデス勝負になるからだ。近本はカットを意識したような送球だったが、事前に状況判断した上で、内野やベンチから「走ってくる」の声かけはなかったのか。
九回に代走・植田を送りこんだが、スタートを試みるようなそぶりすら見えなかったことも疑問として残る。チームとしてやっている“野球の差”が、如実に見えた試合。現在の順位とゲーム差が、それを象徴している。