【岡田彰布氏の眼】消化試合にするにはまだ早い、大山はクリーンアップの打撃をした

 「中日4-8阪神」(18日、ナゴヤドーム)

 阪神は2点を追う六回に大山悠輔内野手(25)が左越えに逆転満塁弾。自身初めて20号に乗せて打者一巡の猛攻5点を呼び込むと、七回には2打席連続となる21号2ラン。巨人・岡本と並んでリーグトップに立った。中日戦5連勝を飾った一戦をデイリースポーツ評論家の岡田彰布氏(62)が独自の視点で解説する。

  ◇  ◇

 ナゴヤドームで中日-阪神戦を見たが、中日の選手起用や雰囲気に“消化試合”のような感覚を覚えた。セ・リーグは首位の巨人が突き抜けて、今年はCSも開催されない。Bクラスにいるチームにとっては難しいシーズンだと思うが、まだどのチームも40何試合を残していて、来季のためにというのはまだ早いように感じる。

 19日からは観客動員の制限が緩和され、今年、球場に来ることができなかったファンの方にも野球を見てもらえる機会が増える。せめて順位が確定するまでは全力で勝ちに行くゲームをしないといけない。来季のため、若手に経験を積ませるのは順位が決まってからでも遅くはない。勝つことを意識して全力で戦う試合こそ、ファンを興奮させ、それがチームとしても来年へつながる。だから優勝の可能性が低くなったとしても、開幕当初のように、全力で勝ちに行く姿をセ・リーグ全チームに見せてほしい。

 阪神では2本塁打を放った大山は、“クリーンアップの打撃”をした。以前、指摘したが、何でもかんでも初球から振るのではなく、フルスイングできるボールを待ってカウントを作れば、自然と甘い球は来る。

 冷静に考えてほしいが、ピンチの場面で中軸に対して初球から甘い球で勝負するバッテリーはいない。そこで早いカウントから厳しい球に手を出しての凡退は、相手からすれば非常に楽だろう。そしてファウルや空振りでカウントを悪くすれば、相手バッテリーが有利になり、より厳しいコースを攻めることができる。カウントを取りにいく必要が無くなるからだ。

 それが勝負の原理原則-。この日の満塁本塁打はカウント1ボールからの直球をしっかりフルスイングし、3球目の低めの変化球を我慢して見極めた。これでバッティングカウントに持ち込み、甘いカットボールを一振りで仕留めた。満塁でカウント3-1にしたくない投手心理が、制球ミスを呼んだと思う。

 七回1死一塁からの2ランにしても、3ボールまでじっくりと見極め、カウント3-1からの浮いた変化球を一発で左翼席へ運んだ。藤嶋は前の打者・サンズを四球で歩かせており、連続四球でピンチを広げることは避けたい状況だった。じっくりと待ったことでストライクを取りたい意識が生まれ、自然とボールは甘く入る。そこをきっちり仕留めるのが、“クリーンアップの打撃”だ。

 本塁打数で巨人・岡本と並び、打点数も4差に迫った。今後、タイトルを争い、チームを勝利へ導くためにも、大山にはきょうの打席内容を忘れないでほしい。“何でもかんでも”より、今はしっかり打つべきボールを待って仕留められる状態にあり、その方が確率も上がると思う。

 そして阪神は梅野が離脱という形になってしまったが、坂本が今後、投手陣をリードしていくには、やはりインサイドを使わないといけない。左打者に対して、同じように外角の変化球を痛打される場面が目立った。

 内を意識させられないことで、左打者は踏み込んで外の変化球を仕留めにかかる。この日のガルシアは制球こそ高かったが、ボールの勢いはあった。左打者のインサイドをきっちり使えていれば、結果は違ったものになっていたかもしれない。内角を攻める大切さを、坂本は考えてほしい。

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