【金本知憲氏の眼】狙わなくても長打が出る打ち方の阪神・近本
「阪神6-3DeNA」(22日、甲子園球場)
今の阪神・近本は自然と長打が出る打ち方ができている。本人が意識してやっているのか、自然とできているのかは定かではないが、バットに力が伝わる体の使い方だと言える。
具体的には、下半身で力を生み出し、腰の回転があり、そして左肩が遅れ気味に出てきて、最後にバットが出てくる。この連動がしっかりできていることに加え、体が前にスエーすることなく、しっかり右側でカベが作れている。腰のベルトラインはやや上下するものの、一番、バットに力が伝わりやすい打撃フォームだ。
そして正面から見て、近本の頭からつま先まで一本のラインを引くと、体が回転していく時に、左半身の力がうまくボールに伝わっている。今日のホームランに関しては、こすったような打球でフォローの風にも乗ったと思うが、この打ち方ができていれば、たとえ狙わなくても長打が出るだろう。
今季はこれで8本塁打ということで、2桁本塁打も見えてきたが、これから近本が何を目指していくか-。今、求められている役割がある中で、さらに上積みを求めていくのも賛成だが、今の形やスイングを忘れてはならない。というのも、さらなるステップアップを目指して、自分の本来の良さを見失ってしまう選手を数多く見てきているから。