阪神・藤浪無双!160キロ連発に聖地どよめく 4年ぶり自己最速タイ
「阪神2-0中日」(1日、甲子園球場)
甲子園がどよめいた。八回から登板した阪神・藤浪晋太郎投手(26)が、自己最速タイ160キロの剛速球を連発。1回無失点、2奪三振で2ホールド目を挙げた。大阪桐蔭の先輩でもある岩田の今季初勝利を援護する好救援。夜空に浮かんだ「中秋の名月」のごとく、チームを明るく照らし始めた。
どよめきと歓声が銀傘で交差し、心地よくグラウンドに響く。衝撃の1球、1球に声援は力強さを増す。「藤浪、藤浪」-。剛球ショーを目撃した観衆の拍手がやまない。中継ぎ転向後4度目の登板で、自己最速タイの160キロを5度計測。2ホールド目、圧巻の0封で勝利をつないだ。
「歓声を楽しむ余裕はまだないです。2点差でピリつく場面。でも感覚もよかったし割と、自信を持って投げることができました」
“八回の男”に託されたのは、2点リードのマウンドだった。先頭の堂上を空振り三振に斬り、藤浪はさらにギアを上げた。木下拓の2球目、160キロで空振りを奪うと、2球連発で二ゴロに抑えた。代打・井領にも160キロ連発。最後はフォークで空振り三振だ。
前回9月29日の中日戦でプロ初ホールド。中1日のマウンドで進化を見せた。「160キロを狙った訳じゃないですが、短いイニングなのでリミッターは外れます」。回を追うごとにつながれていく勝利のバトン。勝負所を託された責任感が、球に一層の力を加えた。
不振が続いた数年。だが、信じて疑わなかった日々でもある。支えは「欲」だ。「野球がもっとうまくなりたい。野望だったり、欲。小3で野球を始めた時から、その気持ちは変わらない」。16年9月14日・広島戦以来の160キロ計測。4年ぶりの自己最速タイは、復活ではなく進化の過程。まだ、道半ばだ。
「前回ほどではないけど緊張はしました。特に岩田さんだったので。何とか抑えたい気持ちが強かったです」
“桐蔭リレー”に思いは募る。2人の恩師でもある西谷浩一監督は、教え子に「一番のススメ」を説いた。「日本で2番目に高い山はなんだ。じゃあ2番目に大きい湖は」。春夏連覇を懸けた決勝の朝、掛けられた言葉を今も心に秘める。「必ず一番になれ。監督の言葉は僕の財産です」。日本で一番の投手は…藤浪。そう言われる日を信じて挑戦を続ける。
カード勝ち越しに成功し、2日からは巨人との4連戦。今季も大きく負け越す宿敵に、リベンジを果たす舞台だ。「リリーフは人の勝ちを背負って投げる。いい経験にしたいし、チームの勝ちにつながる投球がしたいです」。もっと上に、もっと遠くへ。一番を目指す終わりなき旅は続く。