【狩野恵輔氏の眼】阪神・大山は昨年の苦労が生きている
「阪神6-5ヤクルト」(18日、甲子園球場)
阪神の大山悠輔内野手(25)が1点を追う初回、右翼線へ逆転の2点適時打を放った。これで今季74打点とし、リーグトップの巨人・岡本に4差と接近。目の前で5打点を稼いだヤクルト・村上に抜かれたが、それでもリーグ3位タイだ。残り19試合。26本でトップを走る本塁打との2冠へ、全力で走り抜ける。デイリースポーツ評論家の狩野恵輔氏が大山の打撃を分析した。
◇ ◇
まず技術面で言えば、今の大山は構えた時、バットのヘッドが投手を向いた状態から遠心力を利用して振れている。通常なら、ヘッドを投手に向かせるフォームは、振り遅れたりアッパースイングになったりするのだが、インパクトのポイントまで一直線に振れている。打てるタイミングに間に合わせるスイングスピードと力がついているのだ。
精神面でも成長しているのだろう。昨シーズン、開幕から4番を任されたが、結果の出ない時期など周囲からいろいろと言われた。現在は本塁打と打点のタイトル争いの最中。昨年の苦労を克服できたからこそ、今年の成績につながっている。
この日は初回に右前へ逆転2点打を打った後、2三振。それでも堂々と胸を張ってベンチへ引き揚げた。4番はそれでいい。
また、大山のタイムリーで二走・糸井が一気に生還。チームとして、タイトル争いをする大山をアシストしようとする姿勢も見られた試合だった。