阪神・ボーア17号「サイコウデス」8割日本語でヒーローインタビュー
「阪神6-5ヤクルト」(18日、甲子園球場)
手に残る感触は、完璧だった。長い滞空時間で大きな弧を描いた白球。スタンドに消えるのを確認しながら、淡々とダイヤモンドを一周した。これぞ大砲の一撃。湿っぽかった阪神・ボーアのバットから、久々に、心地よい、乾いた打球音が響いた。
初回だ。大山の2点適時打で逆転し、2死一塁の場面。小川が投じた132キロチェンジアップをすくい上げた。打球は右中間最深部へ吸い込まれる17号2ラン。4番の作った勢いに加勢した。
8日の広島戦(マツダ)以来7試合ぶりのアーチ。「球種を狙ってというわけではなくて、どちらかと言うと、自分のバットの出し方であったりとか。ここ最近、いい感じでバットを振ることができている」と振り返った。
本塁打数は大山、サンズに次ぐチーム3位。2004年に金本、今岡、アリアスが達成して以来、16年ぶりとなる20発トリオ誕生も見えてきた。
バットだけでなく、お立ち台でも虎党を盛り上げる。日本語での質問に「ソウデスネ、サイコウデス」と流ちょうな日本語で返答。さらに「マダジョウズデハアリマセン」と話しながらも、インタビューの8割を英語ではなく日本語で答えた。
積極的に日本文化を取り入れる助っ人。コロナ禍の影響で日本語の先生と会えなくなった今、チームメートから学んでいる。「どのようなことを言っているとか理解してきているけど、難しいね」と苦戦。一方で「(教えてくれるのは)糸井さんではないです」と、ジョークも飛ばすほど仲間とのコミュニケーションはバッチリだ。
試合後は、ヘイリー夫人と長男・ジミー君の家族3人で写真撮影するなど勝利の喜びに浸った。残り19試合。「個人的にもチーム的にも、いい形で終わらせることかな」。勝利のために、ボーアは打棒を振り続ける。