【新井貴浩氏の眼】阪神・小幡の守備力は来季優勝に欠かせない
「阪神1-5広島」(20日、甲子園球場)
長いシーズンを戦う上で打って勝つ試合、投げて勝つ試合、そして守り勝つ試合がある。広島が3連覇した時は菊池涼や田中広、鈴木誠のスーパープレーで流れをつくった試合が何度もあった。優勝を目指すためには守備で勝つ試合を多くしなければいけない。そういう意味で阪神・小幡は来季へ楽しみな存在だ。
特にこの日は二回の中継プレーが素晴らしかった。1死一塁から坂倉に左越え二塁打を打たれた際、中継プレーで本塁で刺した。捕ってからの速さがあり送球に強さもある。本塁返球はストライクではなかったが、逸(そ)れてもいい、捕手がタッチしやすい三塁側へ投げられている。
一塁側に逸れると、捕手が追いタッチとなり、際どいタイミングならセーフになったかもしれない。本人が計算しているのか分からないが、小幡は送球が逸れていい方、つまり走者が走っている三塁側へ投げられている。
また三回2死一、二塁からピレラの三遊間を抜けそうな打球に追い付いたプレーも大きい。結果は内野安打だったが、抜けていたら1点を追加されていただけに記録に残らない好プレー。こういった好守備の積み重ねから試合の流れを引き寄せるケースがある。
今は使ってもらっている立場かもしれないが、今季の残り試合でしっかり成長を遂げれば、小幡は来年優勝するために欠かせない戦力となるだろう。今季チーム失策数73は12球団ワースト。タイガースのウイークポイントを補える選手といえる。