【岡義朗氏の眼】三盗に失敗した近本…その課題が五回に見えた
「阪神2-0広島」(21日、甲子園球場)
阪神が完封リレーで勝利した。マルテが1軍復帰即のスタメン出場で、初回に先制となる決勝2ラン。先発の青柳が5回2/3を1安打無失点と好投するなど、投手陣の無失点リレーで逃げ切った。投打がかみ合って勝利した試合の中で、元阪神コーチの岡義朗氏(デイリースポーツ評論家)が注目したのは近本の動きだった。
近本は初回先頭で右前打を放って出塁。続く糸原の初球であっさりと二盗を決めた。さらに2球目に三盗を試みたが失敗した。
「初球に二盗して2球目に三盗というのは、私も長いことプロ野球に携わってきたけど、ほとんど見たことがない。おそらく事前に広島先発・遠藤のクイックモーションのタイムを把握した上で、走れるという根拠を持った上でスタートしたんだと思う。でないと、これほどあっさり二盗、三盗と仕掛けることはない」
しかし結果は三盗に失敗。その後、マルテに先制の決勝2ランが飛び出した。
「マルテの一発がなければ、近本の三盗失敗はミスとして注目されたはず。確信を持って仕掛けたとはいえ、アウトになったわけだからスタートに失敗したということ。近本クラスであれば、失敗したと思ったら止まる技術も身につけてもらいたい」
さらに岡氏が指摘したのは、2-0で迎えた五回だ。2死走者なしから近本は四球で出塁したが、今度はスタートを切らなかった。
「リードした場面で2死。二盗を仕掛けてもいい場面だったけど、スタートを切れなかった。当然、相手のマークも厳しい状況ではあるけど、初回の失敗が頭をよぎったのかもしれない。スタートを切ろうとはしていたが、切れなかった。ここで走れるようになれるかどうかが、今後さらに成長するための課題になるだろう」
超積極性を見せた初回と、自重した五回。この日の勝敗には関係のない場面ではあったが、あえて岡氏は走者目線で分析した。