阪神・藤浪 5回0封!最終戦先発で圧巻9K 能見惜別の完封リレー導いた
「阪神1-0DeNA」(11日、甲子園球場)
来季につながるマウンドだった。最終戦の先発を任された阪神・藤浪晋太郎投手(26)は今季2勝目こそならなかったが、5回を4安打無失点、9奪三振と好投した。今季限りで引退する藤川、今季限りで退団する能見の背中を追いかけてきた若き右腕は、大先輩2人への思いを込め、惜別の87球を投げ込んだ。
抑えても藤浪の表情には、最後まで笑みがなかった。今季最終戦のマウンドで5回を無失点。2021年シーズンへ収穫を得た一方で、憧れた先輩の背中を追うことはもうできない。輝く未来と現実に揺れる感情。感謝の思いはボールに込めた。惜別の87球だった。
「何とか能見さんまで、いい形でつなぎたいと思っていた。自分の投球観、野球観にすごく影響を与えてくださった方でした」
五回、この日最大のピンチを迎えた。連打で無死一、三塁。大貫をスリーバント失敗で三振に抑えると、続く戸柱は140キロのフォークで空振り三振に。最後は152キロで宮本を見逃し三振に斬った。四回、無死二塁では4年ぶりに、けん制球で走者を刺す。必死に「0」を守り抜いた。
藤川さんのような球を投げたい。入団会見で憧れを口にした18歳の藤浪は、13年シーズンから多くの時間を能見と過ごした。「怒られた記憶もない。いつも背中で示してくれた」。主に日曜日の先発だった藤浪と、火曜日を任された左腕エース能見。「衝撃を受けた」練習は打撃にあった。
「どの練習もすごかったけど、プロの投手がここまで、打撃練習するんだって驚いた。能見さんがいたからバッティングがこんなに好きになりましたね」
先輩の姿を見ると、自然にバットを持つ時間も多くなった。
「打ちました!!」
「俺も打ったで」
ホームランを打ちたいな。互いの登板翌日、2人で笑った時間が脳裏に浮かぶ。「勝利数は恐れ多かったけど、ヒット数で競わせてくれた。何かで勝ちたいと思って、自分が勝手に始めたんですけど。1年目で何も分からない僕に、全てを教えてくれました」。ランニングでも若い選手と同じタイムで走る。15ある年の差を感じさせない姿に憧れた。
「本当にさみしいです。僕もそういう人でありたい。能見さんのような投手になりたいと思って、これまで背中を追ってきたので」
幼少期、藤川のストレートに夢を抱いた。プロでは、能見の背中が道しるべになった。長く2人が紡いできた猛虎の系譜。惜別のマウンドは決意表明でもある。継ぐ覚悟を結果に変えた。「良くなるためのきっかけになるシーズンにしたい」。時代が巡り、晩秋に誓う。先人たちの思いも背負いながら、藤浪はエース道を歩んでいく。
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