【矢野虎逆襲への道3】来季問われる阪神・矢野監督のマネジメント能力

 矢野阪神2年目は、2位でシーズンを終えた。15年連続でリーグ優勝を逃し、指揮官が公言してきた日本一達成を逃した。2年連続優勝を果たした巨人との差はどこにあるのか。今季の問題点や課題を整理し、来季への希望も含め、3回にわたって連載で検証する。今回は最終回。

  ◇  ◇

 采配、選手起用…。就任2年目の矢野監督はマネジメントに、試行錯誤を繰り返したシーズンだった。

 今季は開幕12試合を2勝10敗とスタートダッシュに失敗。特に巨人との開幕カード3連敗は大きく響いた。

 開幕戦は巨人・菅野と互角の投げ合いを見せた先発・西勇を6回1失点で降板させた。七回以降を勝ちパターンでしのぎ、チームの戦い方を示す意味も込めた継投策だった。

 だが、七回に岩崎が吉川尚に逆転2ランを被弾。「こういう決断になって俺の責任」。エース続投の選択肢もあった中、裏目に出た判断で流れを失った。

 開幕2試合を計3点で2連敗すると、同3試合目には2番・近本を1番、4番・ボーアを6番に変更。開幕前からの貧打解消を狙った判断だったが、わずか2試合で打線の“目玉”を変更した起用に心の揺れを感じた。

 また、開幕カードは3試合連続で先発捕手が梅野、坂本、原口と日替わりだった。指揮官は就任から「競争」を方針に掲げている。2年連続ゴールデングラブ賞に輝いた梅野に頼りすぎない意図はあったのだろうが、この起用は物議を醸した。

 一方で、積極的な采配で何度も試合をモノにしている。8月6日・巨人戦は1点リードの1死一、二塁で重盗を仕掛けて成功。相手を前進守備にさせ、打者・植田が楽になった結果、2点二塁打へとつながった。

 投手では高橋を一本立ちさせ、岩貞をセットアッパーに抜てき。結果が出ていなかった藤浪は一度、救援に配置転換。シーズン終盤に再度、先発起用して復調の兆しを見せた。

 結果、昨季の3位から2位に順位を上げた。ただ、誰よりも15年連続V逸の責任を痛感している。「作戦ミスや、采配も含めていろんなことがある」と自身を見つめ直す必要性を口にしている。

 来季はこれまで以上に矢野監督のマネジメント能力が問われることになる。経験豊富な能見、藤川、福留らが今季限りでタテジマを脱ぎ、05年のVメンバーもいなくなった。日本選手の平均年齢は、27・4から26・2と1歳以上も若返った。

 チームは過渡期を迎え、失策、バントなどの課題も残している。その上で、巨人との差を埋めなければならない。「失敗なくして成長もない。失敗をどう生かすか」。矢野監督の手腕が、チームの命運を握っている。

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