【阪神新人紹介】ドラフト2位・伊藤将司【3】

 10月のドラフト会議で阪神から指名を受けた9選手の連載をお届けする。第2回はドラフト2位・伊藤将司投手(24)=JR東日本。プロへの扉を開くまでの道のりを振り返る。

  ◇  ◇

 大学3年春には千葉県大学リーグで最多勝など4冠に輝き、前年に続き侍ジャパン大学代表に選出。順風満帆だった将司が左肘痛に襲われたのは2018年春、大学の集大成となる4年の時だった。

 幸い2カ月で完治する程度の症状だったが、春シーズンの登板機会は激減してしまう。秋には徐々に調子を取り戻し、プロ志望届を提出したが、ドラフトでの指名はなかった。

 「ドキドキしていたんですけど、全然名前が呼ばれなくて…。期待していたので、少年野球の仲間とかをみんな家に呼んで見ていたんですよね。最後はシーンとしてしまって…」と父・正宏さんは苦い思い出を振り返る。

 神様がまだ早いと判断したのだろう。国際武道大の岩井監督に「また2年後がある。夢と希望だけは持って頑張れよ」と送り出され、悔しさを胸にJR東日本に入社した将司は、ここでさらに投手として大きな進化を遂げることになる。

 侍ジャパン大学代表で一緒になった現DeNAの東(立命館大)に教わったチェンジアップを磨き抜き、「ものにした」と言い切るほどの武器にした。高校時代は130キロ台だった球速も、充実した施設、トレーナーのもと「ウエートを本格的にやった」ことで、この秋には146キロまで伸びた。

 技術面だけではない。コロナ禍で練習ができない期間には「頭を使うこと」に取り組んだ。『勝てる投手と勝てない投手』などコーチから具体的なテーマを与えられ、それを作文にして提出。内面からも投球術を磨いた。

 対外試合自粛中に頻繁に行われた紅白戦も成長につなげる。仲間にけがさせることを恐れることなく、内を突く度胸を手に入れ、さらに投球の幅が広がった。「チームメートを相手にすることが彼にとっては勉強になったはず。この1年で完全に一皮むけた。駆け引き、配球を学び、『いい投手』から『勝てる投手』に成長した」とJR東日本の浜岡監督は目を細める。

 それが成果として表れたのが、九回1死まで無安打を続ける快投の末、1安打完封を決めた10月5日の都市対抗野球東京2次予選・第1代表決定戦のNTT東日本戦。最終アピールに成功した将司は、ついに阪神から2位指名を受けた。

 座右の銘は『報恩謝徳』-。「お世話になった周りの人に感謝して、プレーで恩を返す。自分はそういう意味だと受け取っています」。子供の頃からやんちゃで、誰もが「明るい性格で物おじしない」と口をそろえる青年が、即戦力の大きな期待を受けて虎の一員となる。

 ◆伊藤 将司(いとう・まさし)1996年5月8日生まれ、24歳。千葉県横芝光町出身。178センチ、85キロ。左投げ左打ち。投手。小1から野球を始める。横浜高では1年秋からベンチ入りし、2年夏、3年春に甲子園出場。2年夏の甲子園・丸亀戦では毎回の14奪三振で完投。国際武道大3年春には千葉県大学リーグでMVP、奪三振王、最多勝などタイトルを総なめ。2、3年時に侍ジャパン大学代表に招集された。JR東日本では1年目からエースとして活躍。

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