【阪神新人紹介】ドラフト3位・佐藤蓮【1】
10月のドラフト会議で阪神から指名を受けた9選手の連載をお届けする。第3回はドラフト3位・佐藤蓮投手(22)=上武大。プロへの扉を開くまでの道のりを振り返る。
◇ ◇
ドラフト会議の夜、蓮は母・智恵子さんの携帯を鳴らした。阪神から驚きの3位指名。「今までありがとう。やっと甲子園に連れて行けるね」。指名直後から泣きっぱなしの母のほおをまた涙がポロポロと伝う。
ここまで順風満帆の野球人生を歩んできたわけではない。母は言う。「蓮は恵まれているんです。小・中・高、大学でも指導者の方に目を掛けてもらって…」。蓮の可能性を信じた周囲の支えと、本人の努力、そして家族の無償の愛が夢を現実に変えていった。
伊豆半島の付け根に位置する静岡県三島市出身。東海道五十三次の宿場町として栄え、富士山麓の「水の都」で蓮は生まれ育った。体重3840グラム、身長56センチのビッグベビーで誕生。幼い頃から元気いっぱいで「家族で出掛けると、すぐどこかに行ってしまうので、いつも派手な服を着せていたんです」と母は笑う。
大の巨人ファンの祖父から野球を教わり、小4から「長伏ヴィーナス」へ。同じ捕手の阿部慎之助に憧れた。身長170センチ超のビッグボーイはグラウンドでとにかく目立った。
「体が大きくて、肩も強い。モノが違う。この子は将来がある」
三島シニアの谷勝利総監督はこのとき既にプロ入りの予感を抱いていた。打撃も非凡だったが、中2から投手転向を指示。ただ当時は成長期でバランスが悪く、制球に課題があった。谷総監督は高校の後輩である五十嵐英樹さん(現DeNAスコアラー)の野球教室に参加させる。
1998年の横浜(現DeNA)のリーグ優勝、日本一に貢献した“ヒゲ魔神”から徹底的に「指のかかり」の指導を受け、縄跳びを日課にすると直球は136キロまでアップ。中3では静岡選抜、U15日本代表に選ばれ、アメリカ遠征も経験した。
「周りがいい選手ばかりで勉強になったんじゃないかな。やる気になっていた。成長していた」。谷総監督は帰国した蓮の変化に驚いた。中学卒業の頃、身長は180センチ超え。高校は飛龍高へ。この3年間が、蓮の運命を大きく変えていく。
☆アラカルト
生まれ 1998年4月11日生まれ、22歳。右投げ右打ち。投手。静岡県三島市出身。身長188センチ、体重101キロ。家族構成は両親と兄。
球歴 小4時に長伏ヴィーナスで野球を始める。ポジションは捕手。中学時代は三島シニアに所属し、中2から投手。飛龍高では3年春に背番号1も同年夏は一塁手として、プレー。上武大1年冬に右肘を手術。4年秋にリーグ戦デビュー。
野球生活の思い出 大学4年秋に優勝投手になれたこと。
好きな言葉 Don’t think,feel(考えるな、感じろ)
球種 直球、カーブ、フォーク、スライダー。
好きな芸能人 上戸彩、鷲見玲奈
趣味 韓国ドラマ鑑賞
憧れの投手 藤浪晋太郎、トレバー・バウアー