岡田彰布氏 阪神は基本の大切さ学ぶべき
阪神は今季も悲願の優勝には手が届かなかった。チーム成績は2位ながら、巨人には8勝16敗と大きく負け越し、7・5ゲーム差の独走Vを許した。宿敵を上回るには、どこに課題があるのか。優勝へのカギは何か。監督経験者らレジェンドOBが分析する。まずは2005年の優勝監督・岡田彰布氏(63)の声を3回連載で。
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今年のシーズンを振り返ってみると、やっぱり目についたのが“とんでもないプレー”が出てしまうこと。例えば7月12日のDeNA戦で八回2死二塁からベンチは代打・福留を告げた。しかし二塁走者の大山が初球、三盗を狙って憤死。福留は1球もバットを振ることなく、1日が終わってしまった。
その他にも一、二塁間を抜かれたらいけない場面で、スチールの際に二塁ベースカバーへセカンドが入ったり、確実にアウトを一つ取らなければいけない場面でゲッツーを狙って悪送球など…。セオリーでは考えられないようなプレーが出て、試合の流れを失ってしまう。全体的に見ても、ミスが起因となって接戦で痛い星を落とすことが多々、あったと感じる。
なぜそういうプレーが出てしまうのか。原因として考えられるのは、状況判断ができていないこと。そして「基本」という大切な部分が抜け落ちてしまっているからだろう。プロ野球は“当たり前のことを当たり前のようにやる”のが大前提であって、そこをおろそかにして派手なプレー、奇抜なプレーをしようとする意識が浸透してしまっているように見える。
優勝を目指すために「10」がゴールラインとすれば、基本に忠実なプレーやゲームをすることで「7」の位置まで持って行くことができる。残りの「3」は応用を加味したプラスアルファ。だからいかに状況判断が大切か、そして基本が大切かというのを来季に向けて学ばないといけない。
今年、現役を引退した藤川はその判断に優れていた。1点リードを守りきるために、やってはいけないことは何か-。一発を食らう危険性があるのであれば、あえて四球で歩かせて次打者と勝負することなども選択肢に入れていた。だから信頼して勝ち試合の最終回を託すことができた。
基本をおろそかにすれば、とんでもないミスや、致命的な失敗を起こす確率が非常に高くなる。そして基本ができていなければ、応用はできない。その事実をきちんと認識することが、第一歩だと感じる。