【岡田彰布氏の眼】阪神・佐藤輝の左腕対策は?「左のスライダーには泳ぐことよ」

 「練習試合、阪神8-5日本ハム」(9日、かりゆしホテルズボールパーク宜野座)

 阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏(63)が9日、宜野座で行われた阪神と日本ハムの練習試合を視察。実戦初アーチを含む3安打3打点の活躍を見せたドラフト1位・佐藤輝明内野手(21)=近大=の全5打席をチェックした。その上でポイントに挙げたのは左腕・福田との対戦となった第5打席。左のスライダーを克服することが、1軍で活躍するための一つの要因と指摘した。

  ◇  ◇

 佐藤輝については5打席見たが、140キロ台中盤の投手にはしっかりと対応できるということが分かった。第3打席の本塁打は追い込まれてコンパクトになっても、あれだけの飛距離を保てる。続く第4打席は144キロの直球を右翼線に引っ張り込んだ。

 その上で一番興味深く見させてもらったのは、八回の第5打席だ。日本ハムの投手は左腕・福田。紅白戦から通じて実戦では初の左投手ということで、どういう対応をするかに着目した。

 結果は2球目の直球を捉えきれず、最後は低めの変化球に対して空振り三振に終わった。しかし結果を気にする必要はない。これから実戦の中でどんどん打席に立ち、左投手への対応の仕方を学んでいけばいい。ただ注意してほしいのが、左腕が投じるスライダーに対してのスイングの仕方。決して引き付けて、しっかり振り切ろうと考えない方がいいと思う。

 左打者が左投手に苦労するパターンとして、外角に逃げるスライダーを引き付けようと意識し過ぎると、今度はストレートに差し込まれる。これが繰り返し続くと、打撃のポイントが崩れてしまい、捉えられていたはずのボールまでミスショットしてしまう。

 そして基本的に打った打者が走るのは一塁方向。左打者からすれば背中側となるため、無意識に右肩や体全体が開きやすい傾向がある。一方で右打者は体の前方にスタートを切る。だから右投手VS右打者の場合は体の開きを心配する必要はあまりないが、左投手が投じる外角へのスライダーに左打者は手を焼いてしまう。

 佐藤輝に対しても、シーズンに入れば相手バッテリーはそういう配球パターンで攻めてくる可能性がある。その対策として言えるのは、左投手のスライダーには崩されて、泳ぎながら右手一本で打つイメージでいいということ。あのパワーがあれば飛距離も出すことができる。すべての球種に対して同じ打ち方をする必要はない。

 佐藤輝が結果を残していく中で、仮に左投手が苦手だというイメージを持たれれば、相手は間違いなくゲーム終盤に左腕をぶつけてくる。そこを乗り越えられるかどうかが、一つの分岐点になるだろう。

 こうやって経験を積みながら、一つ一つ課題を克服して階段を上っていく。今はそれで十分だと思う。これからもどんどん打席に立って、経験を基に考え、工夫を重ねながら成長していってほしい。

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