阪神に走塁革命?紅白戦でベースコーチ不在に「非常にいい練習だ」と元名参謀

三塁ランナーコーチが不在=7日の紅白戦
一塁ランナーコーチが不在=7日の紅白戦
2枚

 阪神に走塁革命の予感!プロ野球のキャンプが中盤に入っているが、タイガースは紅白戦でベースコーチを置かずにプレーしている。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「意図的な試みなら非常にいい練習だ」と名参謀ならではの視点で評価した。

   ◇  ◇

 阪神のキャンプで注目しているところがある。それは紅白戦でベースコーチを不在にしている点だ。紅白戦は首脳陣の方針に沿って自在な形式を取るものだが、このベースコーチを置かずにプレーさせるというのが意図的な試みだとするなら、非常にいい練習方法だと思う。なぜなら走者となった選手自身の判断でゴーとストップを決めることになるからだ。その訓練を実戦的な練習の中で、できるだけやっておこうという狙いなのだろう。

 ベースコーチは試合を運ぶうえで、走者への指示など重要な役割を担っているのは言うまでもないが、打球判断に関しては、走者が打球を自分の目で追える範囲内では、走者自身で判断するのがベストと言える。

 特に無死ないし一死一塁のケースで打球がヒットゾーンに飛んだとき、三塁を取れるかどうかで、その後の戦況は大きく変わる。試合後に開かれるミーティングで最も多いのが、この走塁面の反省なのだ。

 二塁走者が生還できるかどうかを判断するのはベースコーチだが、三塁を奪うかどうかは走者自身の“準備”にかかっている。つまり守備陣形や肩の強弱を頭に入れ、さらに野手のもたつきも想定して走る。センスと言ってしまえばそれまでだが、意欲も大事。

 2009年のWBCには私もコーチとして参加したが、あの韓国との決勝戦でセンターへ決勝の2点打を放ったイチローは、打者走者として二塁まで達していた。状況から見て韓国側は二塁走者の岩村を本塁で刺すのは難しかった。しかし、無理をしたためスキが出た。そこを見逃さなかったのは準備を怠っていなかった証しだ。そのイチローが私との雑談の中で「野球で一番難しいのは走塁」と話していたのを思い出す。足が速いとか遅いとかではなく、大切なのは意識の持ち方なのだと思う。

 (12日に行われた阪神の紅白戦では二回表無死二塁で、原口の三ゴロを小幡が一塁へ送球する間に二塁走者の大山が積極果敢に三塁を陥れた。すでに成果が表れているのかもしれない)

 走塁には先に挙げた条件のほかに風向きや風の強弱、アウトカウントや点差、打順なども考慮しておく必要がある。ベースコーチがいれば、それらを逐一走者に伝えるわけだが、選手もコーチに頼るばかりではいけない。得点圏に走者がいる場合、打者は初球を打ってくる確率が高くなる。そんなことを頭に入れておくのも準備のひとつと言える。

 阪神は昨年、チーム成績で巨人と並び、リーグトップの80盗塁を記録したように、走れる選手が増えてきた。さらに走塁の判断力がアップすれば、目に見えない大きな“戦力”となるのは間違いない。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス