阪神・藤浪 開幕投手!急転決定3・26ヤクルト戦へ 西勇調整遅れで矢野監督決断
阪神の矢野燿大監督(52)が8日、ヤクルトとの3・26開幕戦(神宮)の先発を藤浪晋太郎投手(26)に託すことを明言した。大本命だった西勇が順調さを欠く中で「俺らが優勝するというところも含めて、総合的に俺が考えた」と指揮官。16年ぶりリーグ制覇への期待が高まる今季、藤浪がチーム初星をもぎ取り、頂点に導く。
まさに急転直下の決定だ。「開幕、晋太郎にしたから」-。突然、矢野監督自ら切り出した言葉に、その場にいた報道陣も一瞬、耳を疑った。「総合的にいろいろと考えた結果。晋太郎でいってみようかなと」。プロ入り9年目で初の大役を任され、藤浪が神宮のまっさらなマウンドに上がることが決まった。
昨年末から開幕投手について問われると、指揮官は迷わず西勇の名前を挙げてきた。だが、その“大本命”にキャンプ中から暗雲が漂い始める。ぜんそくの症状が現れ、2月23日には検査と治療のために帰阪。そのかいあって大事には至らず、今年初実戦となった5日のソフトバンク戦では2回無失点と安心させたが…。
一頓挫明け、開幕までに残された時間を考えると、西勇を無理に3・26に合わせるよりも、ここまでキャンプ中の実戦、5日のソフトバンク戦と合わせて12回1失点と好投を続ける藤浪に託すことを決断したようだ。
「現状、普通に考えてというか、エースは勇輝(西)だから」とした上で、矢野監督は「チーム全体を考えた時、シーズンが終わる時にね、勇輝に追いつけ、追い越せという投手になってもらいたいというのもある」と大抜てきの理由を説明。さらに「俺らが優勝するというところも含めて、総合的に俺が考えた結果、そうした」と16年ぶりのリーグ優勝を果たすためには藤浪の“復肩”が欠かせないことを強調した。
過去2年でわずか1勝の投手を開幕マウンドに送り出すのには勇気がいる。それでも「“華”も総合的(な判断のひとつ)だよね。あいつも苦しんだ中からここまで来たのもあるし、キャンプの姿を見ても、ボールを見ても開幕を任せたい」と必死に苦悩と戦い、完全復活の扉を開けつつある過程も加味した。
どん底を味わった右腕のV字回復がチームを勢いづけ、優勝への機運をさらに高めてくれると信じた。また、その手応えを得ているからこその決定となった。たかが143分の1。されどシーズンの大事な、大事な初戦。矢野監督は今季の虎の命運を藤浪に託すという大きな決断を下した。