阪神・近本 超進化弾!新打法で会心1号 パワーも身につけOP戦打率・533絶好調
「オープン戦、阪神2-6西武」(13日、甲子園球場)
ダイナマイト打線の復活か-。阪神は近本光司外野手(26)が五回に一時同点となるオープン戦1号ソロを放った。キャンプから追い求めた理想のスイングが実戦で合致した一撃で、チームは12球団一番乗りでオープン戦10本塁打に到達。2年連続盗塁王のスピードに力強さも兼ね備えた切り込み隊長が、Vへの起爆剤になる。
近本は鷹のような鋭い眼光で浜屋をにらみつけ、右足を大きく上げた。1点を追う五回1死。迫り来るボールは狙い球のスライダーではなく、内角低めへの直球だ。それでも、指2本分短く持ったバットで見事に捉えた。「体が勝手に反応した」。弾丸ライナーで右翼ポール際に運んだ。
一時同点に追いつく会心の1号ソロで、チームは12球団一番乗りでオープン戦10号に到達。不動の1番打者は「バットの出し方やバットの距離、角度が2打席目より良かった。その辺を修正して打席に入れたのは良かった」と両手に残る感触を確かめた。
2月のキャンプでは「シーズンが始まってしまうと結果が全て。今しか研究ができない」と新打法に挑戦し、ボールに対してのバットの入れ方や足の使い方を意識。フリー打撃では打撃投手にスローボールを要求し、体全体を大きく使って強い打球を打つ練習を反復した。
追い求めた理想形が実際の打席で合致したかのように、強い弾道で放り込んだ一発。三回2死の第2打席は外角の直球を引っ張り込んで一、二塁間を破った。左の長距離砲が放つような痛烈な一打にも「センターラインに入れていきたかった。ちょっと腰の開きが早かった」と納得せず。さらに高みを目指す意識が、次打席で完璧な一発につながった。
ここまでオープン戦7試合に出場して15打数8安打、打率・533。3年連続の盗塁王に期待がかかるだけでなく、そこに2桁本塁打が加われば球団史上初の快挙となる。ただ矢野監督は「ホームラン打者じゃない」とし、近本への期待を言葉にした。
「4の1、1本塁打というよりは4の2でも4の3でも。四球でも何でも塁に出るというのが一番チーム的にも、チカの価値を上げることにもなるので」
自身も目指すのはチームの勝利と16年ぶりの優勝だ。「個人の成績もそうなんですけど、チームが優勝できるように。しっかりと先頭で引っ張っていけるように頑張ります」。圧倒的なスピードにパワーも兼ね備えた新選手会長が、Vへの道を切り開いていく。