阪神ドラ1佐藤輝は「20本は打つ」クリアすべき“条件”とは 内田順三氏の視点
プロ野球が26日に開幕する。阪神ではドラフト1位・佐藤輝明内野手への注目度が高い。期待の大物ルーキーはどれだけの活躍をみせるのか。そして、どのような心持ちでシーズンに臨んでいくべきか。巨人、広島で強打者育成に尽力した内田順三氏(デイリースポーツ・ウェブ評論家)に聞いた。
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現状でも1年目から20本は打つのではないか。早めに始動してタイミングを取っているが、バタバタと忙しいフォームではない。回転軸、頭がぶれないから広角に打てるし、パワーに加えて対応力もある。プロに入ってくる多くの選手は軸がぶれることも多いんだけどね。近大時代の昨年、実際に練習や試合の打席を見たことがあるが、そのときよりも一回り成長しているように思う。
シーズンでは150キロが当たり前となり、緩急もつけてくる。おそらく、課題になってくるのは縦の変化球と、左投手の対策。ただ、左投手に対しても大事なのは慣れること。変化球の曲がり幅や角度を覚えていければ対応できる。相手は何とか崩そうとしてくるが、自分のストライクゾーンを壊さないことが大事だ。
また、頭でっかちにならないようシンプルに考えていったほうがいいだろう。オープン戦の情報や、序盤の戦いで弱点が見えてきた場合、相手は欠点を追いかけてくる。でも、例えばインハイに1球みせられても、次は外かな、と追いかけてしまうと打撃が崩れる。細かいことは考えない方がいい。オープン戦であれだけ注目された中でも打っていた訳だから、そのまま今のスタイルでいったらいい。あとは不調になっても矢野監督が使い切るかどうかだろうね。
大山もいて、楽しみな佐藤輝も加わった。阪神は近年、投手主体のチームだったが、攻撃型に変化していく時期もそう遠くはないだろう。甲子園は広いけど、ソフトバンクやロッテのように「ラッキーゾーン」を作ることも検討されるんじゃないかと思うくらい、久しぶりにスケールのある選手が取れたんじゃないか。ファンと一緒に、注目していきたいね。
◇内田順三(うちだ・じゅんぞう)1947年9月10日生まれ。静岡県出身。現役時代は左投げ左打ちの外野手。東海第一から駒大を経て、69年度ドラフト8位でアトムズ(現ヤクルト)入団。75年日本ハム移籍。77年広島移籍後、82年限りで現役引退。通算成績は950試合485安打25本塁打182打点、打率・252。83年以降は2019年まで広島、巨人で1軍打撃コーチ、2軍打撃コーチ、2軍監督などを歴任。現在はJR東日本の外部コーチを務める。著書に「打てる、伸びる!逆転の育成法」、「プロの選手だけに教えてきたバッティングドリル100」。