【岡田彰布氏の眼】阪神・サンズ 大きい2発も燕バッテリーに疑問
「ヤクルト3-4阪神」(26日、神宮球場)
開幕戦を勝ち切れたのは阪神にとって非常に大きいだろう。サンズの2本塁打が勝負を分けた形になったが、もちろん打ったバッターは褒められるべきだ。しかしバックネット裏から見ていると、ヤクルトバッテリーの攻め方に疑問を感じずにはいられなかった。
来日1年目だった昨季、サンズは中盤以降に大きく調子を落とした。その背景にあったのは他球団の執拗(しつよう)なまでの内角攻めだった。インサイドのストレートを意識するあまり、甘いコースに来たボールを捉えきれなくなった。踏み込みが浅くなったことで、長打や一発が出るケースも少なくなったのは記憶に新しい。
そういうデータが残っていたにもかかわらず、この日、サンズの打席内容を見ていると内側を攻められるシーンはあまり見られなかった。四回に小川から放った1号ソロは外角のカーブに対し、しっかりと踏み込んでバックスクリーン右へ運んだ。清水の外角スライダーを左翼席に放り込んだ八回の第4打席に関しては、全7球中、1球も内角を突くボールがなかった。
昨年までのように懐を厳しく攻めた上で、外角の変化球で打ち取るパターンなら分かる。しかしこの日のように、配球が外角中心になるとサンズはしっかり踏み込んでスイングすることができる。
それが2本のアーチにつながった要因だと分析できる一方、ヤクルトバッテリーの配球が勝負を分けたと言っても過言ではないだろう。