【岡田彰布氏の眼】ガンケルはナイスフォアボールよ
「ヤクルト2-8阪神」(28日、神宮球場)
この開幕3連勝は阪神にとって非常に価値がある。2勝1敗と3連勝ではやはり、大きく違う。その中でゲームを分けたのは、ガンケルが村上に与えた2四球。これは「ナイスフォアボール」だったように思う。
2点リードの四回1死三塁で迎えた村上の第2打席。阪神バッテリーは厳しいところを突きながら、最終的に一塁へ歩かせた。最後の関門となった六回2死走者無しの場面でも、相手主砲を「歩かせてもいい」という感覚で投げていたように映った。
結果的に後続をきっちり仕留めて6回無失点と先発の役割を果たしたガンケル。次打者・内川は一発の危険性が少なく、得点圏に走者を置いた場面では逆方向へ転がす意識が強い。右打者のインサイドに食い込むツーシームとカットボール、スライダーを両サイドに投げ分ける投手だけに、くみしやすいと考えていたのだろう。
さらに四球連発で自滅する心配がなく、コントロールに自信を持っているからこそ、“与えてもいい四球”という発想が生まれる。相手に流れを渡すようなスキを一切与えず、きっちりとした野球をやったガンケル。アウトの取り方を知っている投手が、先発ローテで回ってくれるのは非常に頼もしい。