【岡義明氏の眼】山本の盗塁に今の阪神の強さ見た
「巨人3-2阪神」(21日、東京ドーム)
敗戦の中にも、今の阪神の強さを感じさせる、光るプレーがあった。勝ち越された直後の七回だ。
2死から糸井が死球出塁。代走の山本は2球目に盗塁を決めた。しかも“足の選手”というイメージはさほど強くない中で、左投手相手に捕手が送球できないような、完璧な盗塁だ。
カウント0-1から成功させたということは、一塁に行く時にはもう走ることを決めていたはずだ。
つまり、けん制の癖など十分なデータと、相手捕手との駆け引きという根拠があり、それでもスタートを切る勇気が要求される。それがそろったと判断したベンチが、選手を信頼してサインを出したということだ。
ここまで、安定した投手陣と、好調な打線とがかみ合って勝利を重ねてきた。それは事実だが、盗塁、走塁という足の技術も高まっている。チーム盗塁19、失敗が3。この成功率からもうかがえるが、勝負どころで成功させた山本の盗塁は今後、相手チームの脅威となってくるはずだ。