阪神・佐藤輝はぼう然 ヤクルトが繰り出した「ノールック」の二塁牽制【解説】
まさに一瞬の隙を突くプレーだった。5日に行われたヤクルト-阪神(神宮)。ヤクルト・今野が1点ビハインドの七回2死二塁の守りで、二走・佐藤輝を牽制で刺してピンチを脱出した。頭から戻るも間に合わずアウトとなった佐藤輝は、ぼう然としばらくその場に立ち尽くした。
デイリースポーツ評論家の関本四十四氏が「ここぞの場面で使うサインプレー。このためにキャンプでタイミングを確認し、ファームの選手は練習を積んでいく」と語った、見事な連係プレーだった。
“条件”は整っていた。安打で出塁した佐藤輝を二塁に置いて、代打・糸井。ヤクルトは糸井を迎える直前にマウンドへ集まり、伊藤投手コーチを中心にひと呼吸置いた。関本氏は「体の大きい佐藤で経験も浅い。狙えると思ったのだろう」とした。
投手の今野に遊撃手の元山が一声かけてから円陣が解かれ、プレー再開。そして、次の瞬間だった。マウンドの今野がサインをのぞき込むタイミングで、捕手の古賀がミットを内側に動かして合図を送り、素早くクルッと二塁へ牽制。佐藤輝は慌ててヘッドスライディングで戻ろうとしたが、ベース手前で元山がタッチし、アウトとなった。
関本氏は「巨人では二塁牽制は4、5種類とあったけど、このパターンは投手が捕手のサインをのぞいたたまのノールック。ショートは走者の離塁の大きさを見て動きだし、捕手はショートが走者の後ろを通過した段階でミットで合図を送る。捕手は投手のターンのスピードも頭に入れておかなければいけない」と解説。3人の呼吸が完璧にそろい、サインプレーを完成させた。
矢野監督は「流れの中であそこでアウトになるというのは良くない」と佐藤輝に反省も求めたが、「ただ、相手もすごくうまかったし。気を抜いたということでもないんでね」と認めざるを得ないプレーだった。