阪神ドラ1佐藤輝 新人最速10号!業務スーパー弾 5連勝ならずも4番で2戦連発
「DeNA12-6阪神」(7日、横浜スタジアム)
敗戦の中、怪物ルーキーが球史に名を刻んだ。阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が、今季2度目の4番に座り、四回の第2打席で右翼上段への特大の10号ソロ弾を放った。2桁到達は、新人選手の33試合目がドラフト制後最速で、球団新人の左打者に限れば史上初の快挙となった。8日からは新外国人のメル・ロハス・ジュニア外野手(30)=前韓国・KT=が1軍に昇格。気持ちを切り替えて、勝利を目指す。
港町の夜空に白球が舞い上がる。打った佐藤輝、両軍ベンチ、雨がっぱを着た観客も放物線の行方にくぎ付けだ。節目の10号ソロは右翼席最上段の「業務スーパー」の看板手前に着弾。「代役」という肩書を忘れさせるような、4番の一撃だった。
「しっかり自分のスイングを心掛けて、強く振り抜けた。内は頭にあってうまく反応できたので、良かった」
背中の張りで出場登録を抹消された主砲の大山に代わり、「4番・三塁」で2度目の出場。見せ場は1点リードの四回、先頭で迎えた2打席目に訪れた。カウント2-2から中川が投じたのは内角高めの直球。怪物ルーキーにとって開幕から苦しんできた難コースだったが、両肘をたたみながら見事に捉えた。
ドラフト制後の新人で最速となる33試合目での10号到達。阪神のルーキーでは1980年の岡田彰布以来、また左打者では初の2桁本塁打となった。矢野監督も「これぐらいのスピードで10本というのは大したもんやなと思う」と目を細めた。
大山が“積極的休養”で欠場した2日・広島戦も4番・三塁で出場し、逆転満塁弾を放つなど5打点の大活躍。開幕直前、佐藤輝の背中に夢を重ねる虎のレジェンドOBがいた。同じ右投げ左打ちで4番・三塁を務め、85年にタイガースを日本一に導いた掛布HLT。「すごい可能性を感じます」と目を輝かせ、希望を託していた。
「何か大きな壁にぶつかっても、彼自身が修正して対応していけるんじゃないかと。ホームランを打つとか打たないとかいうよりも、そういう能力があるかないかだと思うんだよ。成功する選手って。彼にはあると思う。近い将来、チームを支える大きな柱になっていく選手だと思うね」
同点の七回1死二塁では、申告敬遠で一塁へ。DeNAが5番・サンズとの勝負を選んだプロ初の敬遠に、背番号8の存在感が際立つ。10本塁打、26打点と打撃2部門でリーグトップタイとなった。
「ランナーがいる場面でしっかりかえして、打点を挙げることがクリーンアップの仕事だと思う」と佐藤輝。チームの連勝は「4」で止まったが、次戦こそは、猛虎107代4番のバットが勝利に導く。