阪神・及川 高校BIG4大トリ星!西武・森斬り!中学時代の「リベンジできたかな」
「西武8-9阪神」(30日、メットライフドーム)
大量失点で壊れそうなゲームの流れをせき止めた…文句なしのヒーローやで!阪神は三回途中から救援した及川雅貴投手(20)が、1回2/3を無失点に抑えプロ初勝利。若き左腕の好投が味方の逆転劇、そして破竹のデーゲーム16連勝を呼んだ。交流戦は3勝3敗の勝率5割。価値ある1勝を今週の本拠地6連戦につなげてみせる。
3時間55分の死闘を制した瞬間、ベンチから祈るような思いで見ていた及川の表情は晴れやかになった。メットライフドームで挙げた初白星。記念球を手にした左腕は「初勝利か、おめでとう」と声をかけられた矢野監督と記念撮影し、最高の笑顔をはじけさせた。
「素直にうれしい気持ちもありますが、こういった形で初勝利するとは思っていなかった。勝ちパターンの方々に、しっかりつなげられたかな」
必死に腕を振り、勝利への流れを呼び込んだ。1点ビハインドの三回1死二塁からマウンドへ。いきなり呉念庭に適時二塁打を浴びたが、動揺はなかった。続く山川は1球で投ゴロに仕留め、2四球で2死満塁とピンチを拡大させたが「冷静になって自分のピッチングを心がける」ことを意識。山田をツーシームで右飛に仕留め、最小限の傷口で切り抜けた。
同点の四回無死一塁では待望のリベンジマッチも実現した。“スーパー中学生”と称された中学3年時に、テレビ番組で森と対決。レギュラーを獲得した直後のスラッガーに中前打を許し「プロの厳しさを味わった」と明かしていたが、1軍の舞台で雪辱の機会が到来。スライダーで投ゴロに打ち取り「チームの代表として投げている以上、特別な意識はしていなかったですけど、リベンジできたかな」と納得の表情だ。
小6の頃は千葉ロッテマリーンズJr.で背番号1を背負った。ただ、中学時代に番組の企画で阪神OBの赤星氏から取材を受けた瞬間、「プロに入ったら阪神に入りそうな気がする」という予感が芽生えたという。
横浜高時代には狩野氏(本紙評論家)とも取材で対面を果たし「不思議な巡りあわせですよね。同じように阪神のユニホームを着ることがびっくりです」-。“縁”に導かれたプロの道。西武の猛攻を断ち切ったこの日も、頼れる先輩たちが試合をひっくり返してくれた。そして懸命にリードを守り、初勝利を運んできてくれた。
これでデーゲームは驚異の16連勝(1分けを挟む)。2リーグ分立後、50年の中日以来、71年ぶりとなる大記録に並び、開幕からとなると史上初の快挙。日曜日は9戦全勝だ。
西純、奥川、佐々木朗とともに「高校BIG4」と称された中で、大トリでの初勝利。記念球は両親に渡す予定で「『及川なら大丈夫だな』という信頼のあるピッチャーになりたい」。記念星をつかんだ背番号37が、ここから飛躍を目指していく。