阪神・佐藤輝 新人最多!交流戦5号 サンデー連勝神話崩壊も意地の15号
「阪神3-8ソフトバンク」(6日、甲子園球場)
見せ場が無いままでは終わらない。阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が九回、中堅右に交流戦新人最多の5本塁打目となる、15号ソロ弾を放った。そこまで3三振に倒れていた中での意地の一発は、沈んでいたスタンドのファンを喜ばせた。日曜日の不敗神話も止まる連敗となったが、怪物ルーキーの一振りは次につながる光と信じたい。
劣勢でどれだけ点差を広げられても、懸命に応援してくれる虎党がスタンドにいた。3打席連続三振と見せ場のない佐藤輝も、このままでは終われない。6点を追う九回1死に巡ってきた最終打席。意地を乗せたフルスイングが、新記録樹立への扉をこじ開ける。
マウンドには泉。カウント1-1から右腕が投じた失投気味のツーシームを迷わず強振。圧巻の一撃が中堅右に突き刺さると聖地はこの日一番の大盛り上がり。本塁打数リーグ2位の巨人・岡本和と並ぶ15号ソロで、阪神ファンをしびれさせた。
「しっかり自分のスイングを心掛けて、強く振ろうと思っていました。チームも自分もこのままでは終われないという気持ちがあったので、最後に1本打つことができたことは良かったです」
交流戦のアーチは5本目。10年の巨人・長野(現広島)の本数を抜く交流戦新人最多本塁打記録を打ち立てた。「そこに対しての意識はないですけど、1本でも多くホームランを打ちたいと常に思っているので、そういう意味ではうれしい」と、少し実感に浸った。
本塁打に強いこだわりを持つ佐藤輝だが、プロ入り後は一打者としての進化を目指し、分析力を磨いている。
試合中などに黄色いファイルに目を通し、ノートにメモを取る姿が見られる。「試合中に感じたことやピッチャーの癖とか配球、自分の感覚だったりで気づいたことを忘れないように書くようにしています」。研究心を絶やさず、相手の特徴をインプットしている。
これが奏功しており「いい方向に進んでいます」と佐藤輝。和田に3打席連続三振を喫し、変化球への対応に苦しむ場面も見られたが、この日学んだこともメモして、必ずリベンジへとつなげたい。
開幕から9連勝中だった日曜日に初めて敗戦し、16試合連続で続いていた連勝&連敗なしのオセロ現象も途切れた。8日からはリーグ2位・巨人に勝ち越した日本ハムと札幌で激突する。北の大地でも本塁打記録を更新し、波に乗りきれない虎浮上の立役者となる。